「さあ、長かったおとぎ話も今日で最後だ。
どこまで話したかな…
ああ、少女がお願いをしたところだったね。
”そうかそうか、よしよし おじさんが願いをかなえてあげよう
紳士の姿がゆらぎ、本来の悪魔の姿へと変貌します。
しかし旅人たちは臆することなく勇敢に立ち向かいました。
…そして彼女の願いは残酷な結果に終わったのです。
倒れたのは悪魔たちでした。
魔力が失われ、みるみる街の様子が一変します。
美しいネオン輝く街並みは廃墟になりました。
生前の姿を失い、物言わぬ朽ちたゾンビの姿を現した住人達。
街を守っていた結界も消滅しました。
ロッポンギはもう一度滅び去ったのでした。
永遠のお友だちを増やすはずが愛するふたりの悪魔を失い、失意の彼女は走り去ってしまいました。
…その後誰も彼女の姿を見たものはありません。
神の計画の犠牲となり、悪魔の愛で平和の夢を見た。
運命に翻弄され、帰る場所も失った哀れな魂は今もどこかを彷徨っているのかもしれません…
おしまい。
『なによそれー
…ハッピーエンドはないの?
「ゾンビにされた魂の中には、生前の記憶を忘れられず苦しんでいた魂もあったのだよ?偽りの命で苦しんでいたようだから悪魔が滅されて救われたんじゃないのかな。彼らからするとハッピーエンドだろう。
『ふ~ん
そう言うこともあるのかな、と思いましたがむずかしくてよくわかりませんでした。
『ところでこんなヘンなおとぎ話、どこで聞いたの?
後ろに並んでるムズカシー本に書いてあるの?
「いやいや、直接お聞きしたのさ。
『誰によ?
「もちろん、その美しい魂に。
もう覚えておいでじゃないかもしれませんけどね。