たしかにそなたの言う通り、大切なものを失うことは悲しい。
だが、悪いことばかりではない。
予はそのように考えておる。
大切なものを失うと、どうしようもない絶望と悲しみ、そして後悔が襲いくる。人として避けられぬ。
だがな。
たくさん失ってきたからこそ、
同じあやまちを繰り返さないように工夫するのではないか?
たくさん失ってきたからこそ、
失う前に動けるのではないか?
…しかし動いたからと言って失わずに済む保証はない。
何もせぬほうがかえってよい結果を生むかもしれぬ。
あるいは、どうあがいても悲しい結末なのかもしれぬ。
我々は未来を知らぬ。
乏しい経験を糧に歩むほかない。
たとえ一歩先が奈落であったとしても、だ。
生きれば生きるほど大切なものを失う。
つらいな。
大切に思う心を養うためも、大切なものを守るためにも失う経験が必要とは皮肉なものよ。
だが我々は何かを大切に思うことをやめることなどできぬ。
そう思わぬか?
…少々、口が過ぎたな。
返答を聞かせてもらおう。
予は、予の大切と思うものを守るために戦う。
そなたはどうする?
予と志を同じくして共に歩まぬか?
いまなら大サービスで世界の半分をお前にやるぞ?
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イエス