アビアの冒険日誌

『星導秘録』という　導きの天使による報告書だ。
過去に　天星郷への導きを断念した
英雄候補に関する報告が　記されている。


ヴェリナードのアクセサリー合成屋　リーネは
冒険者の手助けとなるアクセサリーの数々を
１人で合成し　強化してきた類まれなる女性である。


数多の冒険者が　彼女のアクセサリーに
どれだけ助けられてきたか
その功績は　計り知れない。


しかも　これほどの技術を持つ者は
何と　アストルティア全土をあまねく見渡しても
彼女１人しか　居ないのである。


星導会議において　彼女を英雄として認め
天星郷に招くべしとの結論が
ほぼ　まとまりかけた　その時である。




とある冒険者の魂が　不意に星導会議に迷い込み
死してなお　呪詛の言葉を呟いている。
「リーネめ　リーネめ」と…。


この冒険者の生前の記録を調べたところ
高額なコインボスから　やっと入手できた
アクセサリーを　複数個リーネに手渡し


なけなしの財産で合成したところ
ろくでもない効果しか付けられなかった…
という事らしい。


理論値…なるものに　人間の冒険者が固執する事を
我々は　この時初めて知った。我々の今までの認識では
アクセサリーは　合成しさえすれば強くなるのだと。


リーネが　冒険者を大いに手助けしてる事は事実である。
だが同時に　冒険者の欲望を刺激し　多大な財産を
貯えているという　負の側面も明らかになった。


ここにおいて星導会議は　リーネを英雄として招く事は
星導課の汚点になると断じ　この議論は打ち切りとなった。