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砂漠のじごくのハサミ

ノノ

[ノノ]

キャラID
: TQ400-888
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: デスマスター
レベル
: 120

ライブカメラ画像

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ノノの冒険日誌

2016-12-05 05:29:29.0 2018-02-04 03:28:53.0テーマ:その他

ゆうはん。58「なんか十ヶ月くらい寝てた気分だぜ!」「……でしょうね」「でもなんで俺の居場所が?」「GPS機能です」「だからこれファンタジーのはずだよね!?」


  第4章 その23

 柔らかな陽射しの中で目が覚める。
「おはよう、よく眠れた?」
 優しい彼女の声。懐かしい匂いがする。
「珈琲よ。飲むでしょ?」
 テーブルに置かれた色違いでお揃いのふたつのカップ。
 食器も家具もふたりで揃えた。小さくて狭いけど、世界で一番温かい部屋。
「早く起きてきたら?」
 カーテンを開いて窓から離れようとする彼女。その細い腕をつかんで引き寄せる。
「もう、なぁに。どうしたの?」
 思い切り彼女を抱き締めた。温もりを確かめたかった。
「だいじょうぶ、なにもしんぱいしないで」
 ……ホントに?
「さぁはやく起きて――――あなたを待っている人がいるから」
 武器屋の娘が微笑んだ。



 何かを砕く軽快な音が続いている。
 ふと目を向けると、そこに居たのは黒服だった。
「おや、ようやくお目覚めですか」
 どうやら豆を挽いているようだ。辺りが香ばしいのはそのせいか。
「珈琲だな? なら、砂糖は抜きで、ミルクを少々、頼むわ」
「あいにく、ここは貯えが粗末でしてね。素のままよければ、後ほど」
「ちっ、使えねーなぁ、おい」
 陳腐な夢を見たせいで詩人は苛立っていた。それは最低最悪な目覚めだった。
「まだ生きているとは随分としぶといですね、さすが社会のド底辺」
 常に笑みを絶やさない優男だがどこまでも辛辣な黒服だ。相手が瀕死であろうと変わらないようだ。
「俺はどれくらい寝ていたんだ?」
 詩人はベッドの上に寝かされていた。
 豆を挽く手を止めずに黒服が答える。
「三日間ほどですね」
「そんなに……」
「よく生きてましたね。あれだけの傷を負って」
 よく見れば詩人は全身包帯だらけだった。それに酷く体が重い。
「アンタが助けてくれたのか?」
「まったく大変でしたよ。なんであんな海岸で倒れていたのですか。たった一日で何があったというのです?」
「何がってそりゃぁ色々と、……ッ!?」
 詩人は急に上体を起こした。その気配に思わず黒服の手も止まる。
「どうかしましたか?」
「なぁアンタ! 俺の他に誰も居なかったかッ?」
「何ですか? 急な大声は身体に障りますよ」
 と、黒服は窓を開いて詩人を導いた。外に海が見える。
「さぁもう一度、大きく息を吸って」
「お、おぉぅ?」
「ほら思いの丈を叫ぶのです」
「俺のーぉ他にーぃ誰も居なかったのかーッ!?」
 しじんさんの さけびが こだまする!
 しかし!
 そのほうこうには だれもいない!
「う――――げほげほげほげほぉ……ッ!」
 やった!
 しじんさんは むせている!
「ほらごらんなさい、病み上がりで大きな声なんか出すからですよ」
「いや、やらせたのアンタだよね? 辛辣っていうか、悪質!」
「で、なんですって?」
「だからぁ、俺を助けてくれたとき、そばには他に誰か居なかったかって、訊いてンだよ」
「いえ、あなた以外には誰も」
「やっぱ、そうか……」
「まぁ、少し落ち着きなさいな」
 黒服は珈琲を差し出した。ヒビの入った無骨なカップだ。
 木造の小屋の中だった。簡素で最低限必要な生活用品だけがあった。
 潮騒が聴こえる。ここは海辺のようだ。
 詩人は珈琲をすすった。とても熱い。すごく苦い。だけど少しだけ頭が冴えたような気がした。
 詩人が黒服に訊ねる。
「三日間って言ったっけな、アンタ。あれから街のほうで何か変わったことはなかったか?」
 黒服は不敵の笑みを浮かべ語り出す。
「そうですね。大きな貨物船が魔物に襲われたようですよ。おかげで港は封鎖されているとか。旅客船もしばらくは機能しないまま。街は大混乱になっていることでしょうね」
「魔物のせいか……ちくしょうッ」
 詩人は唸った。ぐずぐずしてはいられないようだ。
「ごちそうさん。美味かったぜ」
 詩人は立ち上がった。案の定、足元がふらついている。しかし気合いで耐えた。そのまま出ようとする。
「お待ちなさい。そんな身体でどちらへ?」
「アンタとの約束も果たせてないからな。それに俺には、行かなきゃいけないトコがあるンだ」
「まったく……死ぬんじゃありませんよ。死んだら墓石の前でお説教です。まぁ住所不定無職のあなたには野犬のご馳走がお似合いですけど」
「ブレねぇなぁ、その毒舌」
「あなたまで死んでしまったら、いよいよこの服を脱げなくなりますからね、私が」
「なんの話だよ?」
「いえべつに。ところで、誰かの為に自ら進んで何かが出来る者のことを、なんというのか知っていますか?」
 黒服。
「さぁな。そんなお人好しがいるのかい? まぁ、俺は流浪のうたびとさ、永遠の、な」
 詩人。
 扉を開けると、より一層潮騒が広がった。


 つづく。
※この物語はフィクションです。
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