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砂漠のじごくのハサミ

ノノ

[ノノ]

キャラID
: TQ400-888
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: デスマスター
レベル
: 120

ライブカメラ画像

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ノノの冒険日誌

2018-02-08 05:46:29.0 テーマ:その他

ゆうはん。66 決戦、街はずれの寺院


  第4章 その31

 熱い。
 全身が灼けるような熱さで詩人は目を覚ました。
 傷の痛みで高熱を出したせいかと思った。しかし、そうではないことがすぐに分かった。
 異臭。
 鼻に衝く焦げたニオイで危険を察知した詩人は、シーツを掴んでベッドから転げ落ちた。
 天井を煙が覆い始めている。ぐずぐずしている暇はないようだ。
 窓を叩き割るとあちこちから火の手が上がるのが見えた。近隣の森までもが炎に包まれていた。
 ここは二階だ。その身体で飛び降りるのかを迷っていると、
「詩人さん! 生きてるッ?」
 シスター見習いの少女の声。
「ばかやろう! 危ないから来るンじゃねぇッ!」
 詩人の制止を振り切って少女が廊下の奥から飛び出して来た。
 そのまま詩人の胸に倒れ込む。
「火がっ、炎が……っ、みんな燃えちゃう……っ、あいつらが、火を放って、火事がっ!」
「とにかく落ち着け! わかったから……!」
「詩人さん、怪我してるし、動けないんじゃないかと思って、それで、あたし……」
「そっか、助けに来てくれたんだな。怒鳴って悪かったぜ」
「良かった……よかったよぉ」
 しかしながら状況は最悪のようだ。まさか深夜に放火とは、やることが極悪非道極まりない。こんなことをするのは、昼間の荒くれ共に間違いないだろう。奴ら、もはや手段を選ばないつもりなのか。
 泣き崩れる見習い少女を抱き起こし、詩人は訊いた。
「院長はッ、子供たちは、みんなはどうしたッ?」
「みんなは、大丈夫、礼拝堂の奥に、地下室があって、あそこが一番安全だからって」
「そうか、みんな無事なんだな。よし、俺たちも早く行こう……!」
 詩人と少女は頭から毛布を被り、口元にはシーツを巻いて、一気に駆け抜けた。
 宿舎は全滅のようだ。行き場を失った炎と煙が舞い踊り轟音を上げている。
 二人は階段を転げるように滑り落ち、中央広間へと急いだ。詩人は扉を蹴破って抱きかかえていた少女と共に押し入った。幸い、礼拝堂に火の手は伸びていなかった。
 しかし、
「おらおらぁ、さっさと出て来やがれーッ!」「それとも、みんな仲良くそのまま丸焼きになりてぇのかーぁッ!」「どのみち生かしちゃおかねぇけどなぁ、ぎゃはははーッ!」
 汚い怒号。
 げらげらと大勢の笑い声は外から聞こえる。すでに包囲されているようだ。
 さらに衝撃音。奴ら、放火だけでは飽き足らず、ここを完全に破壊するつもりか? 玄関ホールは廊下を挟んだ向こう側だが、侵入してきてはいないだろうか。
 見習い少女が告げる。
「大丈夫。玄関とここだけは、そう簡単に壊れたりしないはず……、たぶん」
 流石は祈りを捧げる神聖なる場所だけあって、元から造りが頑丈のようだが、それも時間の問題か。
 詩人と少女は聖母像の足元、隠し階段に急いだ。
「ふたりとも、ご無事でしたか!」
「いんちょ~~~ッ!」
 見習い少女が院長婦人に抱き付いた。
 倉庫のような狭い地下室だった。
 子供たちも他のシスターたちも輪になり身を寄せ合って、みんなうずくまっている。
「ふぇぇん、こわいよぉ」「ねぇ、みんなしんじゃうの?」「いたいよぉ、いたいよぉ」
 怪我をしている子がいた。放心状態で宙を見つめたままの子もいた。泣き疲れて寝ている赤子さえもいた。
「あいつは、あの小僧はどこだ?」
 詩人は声を絞り出した。黒髪の少年の姿が見えない。
「そうだ! あのコが居ないよ! いんちょー、あの男の子、見ませんでしたッ?」
 見習い少女は泣き叫んだ。
「彼は……ひとりで残りました。私たちが何を言っても聞かずに、ただ剣を持って、玄関の方へ……」
 目を伏せ、院長婦人が続ける。
「きっと戦うつもりなのでしょう……私は、私はただ、見送る事しか出来なかった……」
「そうか……。行ってくれたのか、あいつ」
 自然と笑みがこぼれた詩人、そして、立ち上がった。
「ちょっ、どこ……行くの? アンタはまだ動いちゃダメだってば!」
 すがりつく見習い少女の頭を撫でてやる。いつの間にか三角巾が取れて、ベリーショートの金髪が露わになっていた。
「なぁんか、おサルさんみたいだなぁ」
 なでなで。
「ちょっとぉ、ばか! もぉ、ばかぁっ!」
「嘘ウソ。でもまぁ、キレイな髪質してっから、伸ばした方がきっともっと似合うと思うぜ」
「ちがぅよぉ、切ったんだもん。あたしだってぇ、ここに来る前はぁ……うううああん……」
 自分の使っていた毛布を泣き崩れた少女に掛けてから、
「さてと、じゃぁ俺も行ってくるぜ。院長さん、ちょっとの間、頼ンますわ」
 詩人は剣を手にし、隠し階段を上り始めた。
「どうか、どうかご無事で! 神のご加護がありますように……!」


 つづく!
※この物語はフィクションです。
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