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砂漠のじごくのハサミ

ノノ

[ノノ]

キャラID
: TQ400-888
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: デスマスター
レベル
: 120

ライブカメラ画像

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ノノの冒険日誌

2023-11-07 00:18:17.0 2023-11-09 02:14:53.0テーマ:その他

ゆうはん。73「懐かしいよね、脅威のエンカウント率」「ホントそれな。昔のは街出た瞬間にエンカするとかあったよな」「鬼畜ぅ♪」【まおぼく】


  第5章 その3

 がっしゃーん!

 閉ざされた城門。
 兵士らの冷たい視線が刺さる中、しばらく呆然となって、背の高い扉を見上げていた。
「まぢホントこれからどーすりゃいいんだ……」
 妹を庇って隕石の衝撃で死んだはずが、目覚めると何故か勇者になっていて、ワケの分からぬまま外へ投げ捨てられた、俺。
 独り泣き言していても始まらないので仕方なく、とぼとぼと歩き出す。確か、街があるって言ってたっけな。
 するとそこへ、
「ぴぎーッ!」
 なんと!
 モンスターが あらわれた!
「え、ウソだろ。もう魔物出るの?」
 ちなみに、城と街はちょっと離れていた。てか、街はもう目と鼻の先なんですけど。
「まぁ、出たのが一匹だけなら、なんとかなるかな?」
 現れたのは、青くてぷるぷるっとしたグミみたいなゼリーのような巨大な単細胞生物だ。
「ぴぎッぷしゅるるるー!」
 と、威嚇(いかく)? してるようだが……、コイツぁは多分、下級モンスターだな。うん、いける!
 俺は拳をグッと握りしめ、助走をつけ殴り掛かった!
「うおおおッ! お前を経験値にしてやろうかーぁッ?」
 ゆうしゃの こうげき!
 ミス!
 ダメージを あたえられない!
「なにぃッ?」
 避けられた。
 コイツ意外とすばしっこいぞ。そんで勢い余って盛大にずっこけた俺。ちょー痛い!
 と、
「ぴぎゃーッ!」
「うぉわッ!」
 モンスターの こうげき!
 モンスターは ゆうしゃに からみついた!
「うわ、放せッ、苦じいぃ……ッ!」
 粘着質でゴムのようなその体が的確に俺の顔面に張り付いて来た!
「む~! む~!」
 目も鼻も口も塞がれた俺はもがき続けるしかなかった。引き剝がそうにも、それはよく伸びよく縮み、離れない!
 ていうか、息が、出・来・な・い……!
「ぐ……、ぐふ……ッ!」

 ゆうしゃは しんでしまった!
 ちーん。

  *

「おお、なんということだ。死んでしまうとは情けない」
 聞き覚えのある仰々しい声がして、俺は目覚めた。
 え~っと、もしかして、ここは……?
「さぁ、今一度立ち上がり、旅立つのだ――、勇者よ!」
「…………まぢかよ」

  *

「つぅかさぁ、早すぎじゃね? 何にやられたらそんなにすぐに死んじゃうの?」
「青くてぷるぷるした、でっかい水玉みたいなヤツです、はい……」
「は~ぁ? アレにやられたの? あのアレだよね、誰もが最初に戦う雑魚中のザコモンスターに~ぃ?」
 呆れた顔で俺を見てくる王。
 どういうワケか知らないが、俺はまた蘇り、王の間に居たのだ。
「あの、その、油断したと言うか、なんと言うか……」
 まさか窒息死するとは思わなかった。城から出て一時間と経ってないのに。
「噛みつけばいいじゃんよぉ、そういう時はぁ!」
「初っ端からそんなアグレッシブな戦い方、出来るかっての!」
「あ? そんなん誰でも知ってる常識だぜ~? え、なにお前、子供以下? つうか村人以下じゃん赤子じゃーん! しっかりしろよぉ勇者のくせに~ぃ!」
「いやだから、俺は勇者なんかじゃないし、むしろ村人だったし、てか目覚めてすぐなら赤子と言っても過言じゃないし……」
「なにぶつぶつ言ってんだよぉ……おい、大臣!」
「はっ。いかがいたしましたか、王よ」
 出たな、大臣。
 王が大臣に問い掛けた。
「ねぇどうする? コイツこんなに弱かったっけ?」
「ふむ。どうやらこの者、丸腰のようですな」
「あ、ホントだ。素手じゃん。武器ないじゃん」
「おそらく、全滅を繰り返した挙句、所持金が底を着いてしまったのでは? もしくは装備禁止の縛りプレイ中とか」
「おい~、そーゆーのは上級者のすることだろぉ。駆け出し勇者はまず真っ当に冒険しろよなぁ」
「いやはや、不思議なこともあるようですな。普段なら勇者の名を盾に片っ端から金銭巻き上げてやるとか言っているくせに、今のこの者からは昔懐かしき骨のある若者の気配を感じられますぞ」
「おいアンタら、相変わらず失礼なこと言ってるだろ」
 オッサンふたりに再び軽蔑の眼差しを送る俺。
 そんな俺に王はしぶしぶと言った感じで、
「ったく、しゃーねぇなぁ。おい、アレを持て」
「はっ!」
 王の命に兵士が何かを持って来た。大きな木箱だ。
「勇者よ、その箱を開けるがよい」
 俺が王の言葉どおりに箱を開くと――、
 なんと!
 金貨が何枚も入っていた!
「え、良いンすか、コレ……?」
 日雇いだった頃の給料の数倍はある額だ。俺は金貨なんて持ったことがなかった。
「それ持ってさっさと街へ行き、旅の支度を整えるがよーい」
「あ、ありがとうございます……ッ!」
 思わず素直に感謝してしまった俺。
 こうして俺は再び城を出た。

 つづく!

※この物語はフィクションです。
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