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砂漠のじごくのハサミ

ノノ

[ノノ]

キャラID
: TQ400-888
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: デスマスター
レベル
: 121

ライブカメラ画像

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ノノの冒険日誌

2023-11-16 01:49:32.0 2023-11-24 01:46:38.0テーマ:その他

ゆうはん。80「って感じで引っ張ってみようかと思うんだけど、どうだろう?」「また何も考えてないのね、お兄ちゃん」「そのとーり!」【まおぼく】

 第5章 その10

「でもさ、仲間も守れないのに、世界中の人々を守るとか、そんな調子でホントいいのかな。そりゃぁ魔物とかはそこらじゅうにいるけどもさ――、っと、出たなッ?」
 なんと!
 まものが あらわれた!
「ぴぎーッ!」
 ふいに飛び出したのは水玉状のぷるぷるしたやつら。かつて俺を窒息死に追い込んだ強敵だ。
「油断しちゃダメだ。こいつら見かけによらず手強いんだ!」
 と、魔術士少女を守ろうと身構えた俺だったが、それよりも先に彼女は一歩前へ出て、
「出でよ、さつりくとはかいのきょうせんし召喚」
 ぐごごごご……ッ、
 ずどーんっ!
「ぴぎゃぁーッ!」
 それは、どこかで見たことのある人物だった。
 少女が右手をかざすと空間が開き、中から大きな人影が現れ、いきなり敵の一体を殴りつけた。爆発四散する魔物だったもの。続けて残りの魔物を殴るわ蹴るわで蹴散らすその巨体。
「どんなぁ魔物でもぉこのオレにぃ任せとけぇ、はっはっはーッ!」
 やった!
 おとこせんしだったものは
 まものたちを やっつけた!
「…………」
 俺は呆然として見ていた。その半透明な男が魔物たちを、せん滅するのを。って、
「戦士さん――ッ?」
 半裸にマントのみを身に着けた、やたら筋肉質なあの男!
 勇者である俺を庇って非業の死を遂げた愛すべきマッチョ野郎!
 俺たちの熱血ファイターが帰って来たのかッ? 
 しかし、
「はっはっはー……」
 笑いながらも、すーっと消えていく戦士さん。
「ありがとう。迷わず逝ってね、お兄ちゃん」
 ぺこりと少女、合掌。
「…………」
 俺、唖然ぼー然。    
 こ、こここ怖ぇぇえええッ! コイツぁ、やべぇのだ! なに異空間から実の兄出してんのッ? それ、死者じゃねッ? てか、呪文詠唱とか無いのかよ! 秒だったぜ今のッ! あと、杖使えよぉ折角買ったんだからぁッ!
「勇者さまは私がお守りしますから」
 凛と言い放った少女。
「え……ああ、うん。頼もしいよ、とっても。どもありがとね……あはは」
 てゆーか、なんなんだよ、この兄妹ッ!

   *

「あのさ、いっこいいかな?」
 俺は訊いてみる。
「なんでしょう、勇者さま?」
 きょとんとした顔の魔術士ちゃんだ。
「てゆーかさ、今のなに?」
「今のとは、勇者さま?」
「さっき、なんか出したじゃん、なんかこう、俺たちのよく知っている人物を」
「死者となった私の兄を召喚しました」
「やっぱりか!」
 いや、なんてゆーか、こう、杖かざして、ファイアー! とかするもんじゃないの、フツー? 魔法ってやつぁ。
「さぁ? よくわかりません。私自身は魔法が使えませんので」
「ええええ。でも、魔術士って、言ってたよね? 得意なのは黒魔術って……?」
「儀式を行い異空間より契約を交わした死者のチカラを借りただけですが、何か?」
「黒魔術ってそーゆー意味かッ!」
 ファンタジーものじゃなくて、リアルガチ寄りじゃねぇか!
 なんだよ、儀式とか契約って。生贄でも捧げたのか?
「私の寿命と引き換えです」
「なにそれすっごいハイリスクっ!」
「兄はすぐそばにいますから」
「そのセリフって、そーゆー意味かーぁッ!」
 ゆうしゃの さけびが
 こだまする!
「会いたいときには、いつでも会えますから、ね♪」
 まんまじゃねぇか。
 おいやめろ、俺の肩の上のほうに視線を向けるな。ときどき俺の背後に手を振るな!
 え、何、見えてるの? きみ、見えるコさんなのッ?
「変な勇者さまですね、ふふふ」
 笑うなぁ、怖いからッ!
 なにコイツ、あの兄(故・半裸のマッチョ戦士さん)とはまた違った恐ろしさを秘めていらっしゃる!
 兄妹そろって変人だった。

   *

 ともあれ、思わぬところで最強のチカラを手にした俺、元庶民・現勇者である。
 少女の自称・黒魔術は凄かった。
 てゆーか、故・兄のチカラが物凄かった。
 放っておくと、ところかまわず「さつりくとはかいのきょうせんし」を呼び散らかすから、さすがにマズいと思った俺は、作戦「じゅみょうだいじに」を魔術士少女に言い渡した。
 でもまぁおかげさまで、そんじょそこいらの水玉共には負けなくなった。俺、ほぼ何もしてないけど。
 しかし!
 ゆうしゃは ようすを みている!
 イイんだよ、どうせ俺よりコイツ、魔術士ちゃんのほうが素早いんだから。俺より先に動いて魔物倒しちゃうんだもん。すでに倒した魔物の亡骸に空振りしてる俺ってば、虚しい。
 
「さぁ勇者さま、着きましたよ」
「な、なんだこの村は……ッ!」


 つづく!
※この物語はフィクションです。
 交流酒場で「ゆうはん。」と検索すると、これまでのお話が振り返れます。
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