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砂漠のじごくのハサミ

ノノ

[ノノ]

キャラID
: TQ400-888
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 天地雷鳴士
レベル
: 120

ライブカメラ画像

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ノノの冒険日誌

2024-01-15 00:27:35.0 2024-01-15 00:33:59.0テーマ:その他

ゆうはん。98 ハートに火をつけて 【まおぼく】

  第5章 その26

「どうした、もう終わりか?」
 鈍色の仮面を着けた大男が不敵に笑っていた。
 対する勇者の彼は片膝立ちだったけど、
「……そういえば今日はあのチビで生意気そうな、あんたの主様は来てないのかい?」
 なんとか起き上がれたようだ。
「ふん。我が主はお忙しいのだ。貴様のような雑魚の相手をしている場合ではない」
「お。チビで生意気は否定しなかったな。今度会ったら言ってやろぉっと」
 なんて悠長な言葉を返していたが、彼が押されているのは明らかだった。
「ふん。失敗作にしては良くやったな。だが、ここまでだ」
 仮面の大男が振りかぶって勇者に襲い掛かる――と、
「ちょーっと! お邪魔するよっ!」
 ばばーん!
 あたし、参ッ上★
「なんだ……貴様?」
 ふふふん、あっけにとられる仮面の大男だよね。
「こっからはあたしのステージ――もとい、あたしが相手だよ? へいへーい覚悟しなさ~い」
 あたしは剣を構えて前に出た。
「ダメだ。キミは下がってろ……っ!」
 手負いの勇者があたしを制してくるけど、
「もぉ、アンタまだあたしのこと足手まといとか思ってるの?」
「いや、そんなんじゃない。……だけど、あいつは俺の敵なんだ。キミには関係ない」
「何言ってんのさ。そんなにふらふらしてぇ。また死んじゃったらどぉするの?」
「でも、キミを危険な目に合わせるワケにはいかない……!」
 そう言う彼にあたしは素早く小声で伝える。
「――ドラゴンが、あんたを元の世界へ返すって」
「……ッ!」
 驚いた顔の彼をあたしは急かす。
「早く行って。ここはあたしがなんとかするから」
「すまない……すぐに戻る!」
 彼は駆け出しドラゴンのもとへと走って行った。
 大男は嘲笑うように、
「勇者のくせに仲間を置いて逃げ出すとはな」
「ばーか、そんなんじゃないよーだ!」
 あたしは仮面の大男と対峙した。
「何故、我の邪魔をする、小娘よ?」
「アンタが彼の敵だからだよ」
「小娘よ、命が惜しくないのか?」
 ヤツのその言葉であたしは瞬間沸騰!
「命なんて……」 あたしはグッと剣にチカラを込めて 「最初っからとっくに無いじゃないのさーッ!」
 あたしは大男に斬りかかった。
 しょうじょのこうげき!
 しかし!
 かめんのおとこは
 ダメージを うけない!
「愚か者めがッ!」
 大男があたしの剣を軽々と受け止めた。と同時に杖があたしの頭上に振り降ろされる。あたしは身をひねってなんとかそれをかわした。――ふぅ、ぎりぎりだったじゃん、やばぁ。――と、
 ――ごきゅッ!
「ぐぅぁ……ッ!」
 大男の回し蹴りを脇腹に喰らってあたしは地面に叩きつけられた。
「ああ……ぁッ!」
 無様に地面を転げまわるあたし。……痛い、痛いよぉ。これでも全部が幻だって言うの? やっぱ嘘でしょ、そんなの有り得ないっしょ。ちょー痛いんですケド……ッ!
「小娘よ、いま楽にしてやる」
 お腹を抱えてうずくまるあたしに大男の影が迫った。
 ――あたし、ここまでなのかなぁ。
 かっこつけて飛び出したって、何にも役に立てないじゃん。……ごめんね、あたしの記憶を持っていた元の誰かさん。でもね、このまま負けるのは、もっと嫌だから……、
「消えてしまえ小娘ぇッ!」
 大男の剣先があたしの胸に突き刺さる寸前――、
 
 ――斬ッ!

「ぐ……うをおおおおお……ッ!」
 しょうじょの はんげき!
 なんと!
 しょうじょは おおおとこの
 うでを きりとばした!
「ふぃ~……、あー、痛かったぁ」
 そしてお腹を抱えながらなんとか起き上がるあたし。脂汗で顔面ぐっちょりだよ、もぉ。
 あ、でもダメだ。これたぶん骨折れてるレベルじゃん。シンプルにすごく痛い。
「おのれ小娘ぇ……よくもぉ……ッ!」
 今度は大男が地面に伏して呻いている。
 お互いに満身創痍といった感じ。
 あたしはゆっくりと近づいて、
「ねぇ、アンタも幻なの? それとも実体があるの?」 
「…………」
 何も答えない大男。仮面の下でどんな表情をしているのか分からないけど、
「でも痛いでしょ? どっちにしたってさ、その痛みは本物だよね」
 そうだ。それだけで十分だ。痛みは生きている証なんだ。
 ならば、まだ――あたしは生きていける。
「あ……っ」
 眩暈がして足元がふらつき、あたしは崩れ落ち――、
「おい、大丈夫か?」
 すぐそばに勇者の顔。あたしは彼の腕に抱き止められていた。
「あたし……頑張ったよ……えらい?」
「ああ、すごいよ、キミは」
「えへへ……やった……」
「無茶するよな、まったく」
 あたしは勇者に支えられて巨竜の石像のもとへと戻る。
 彼の温もりだって、あたしにとっては本物なんだ。


 つづく!
※この物語はフィクションです。
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