(前編からの続き...)
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「...すまないね、話過ぎて喉が痛くなってしまった」
声色からも、見た目からも、性別はわかりづらい
ウェディであることはわかるが、それ以外の情報が全くない、まるで霞のような吟遊詩人は、軽くせき込むと、まほうのこびんを懐から取り出して直飲みした
「...うぇ、やっぱり不味いね」
「あぁ、気にしないで...半分、呪いみたいなもので」
口調が先ほどよりも砕けている、語りにそれほど集中していたからか、本人は気付く様子もなかった
「...まぁ、その話はまた後日」
「改めまして、ここからはつい最近の話」
「ギルド『星の集い』は、双子の両親が死んでから、その弟子であったカノンという天地雷鳴士が引き継ぐことになりました」
「それから特に何事もなく...いえ、何事もなくは嘘ですが」
「特に目に見えた問題もなく、時が進んでいきました」
「...ターニングポイントは、2つ」
「白星...『双子星』の片割れの姫、かえで嬢が片目を失った時」
「彼女は、黒星である双子のもう一人の存在を知らず、しかし運命というのは...星の巡りというのは数奇なもので」
「彼女は、性能の良い義眼を求めて」
「黒星の姫の元を訪れ、邂逅しました」
「その時、黒星の姫だけは、白星の姫のことを、双子の片割れであると気が付き」
「そうして黒星の姫は私たちに接触し、『彼女に私が何者かを伝えてはいけない』と、そう命じました」
「『双子星』を守るという名目で建てられたこのギルドは、ギルドマスターよりも実質的に権限がある故、私たちはそれを守るだけ」
「そうして、黒星の姫の企みが始まりました」
「もう一つのターニングポイントは...」
「ギルドマスター、カノンが攫われたことです」
「保護者同然のギルドマスターが姿をくらましたことで、白星の姫の心はすり減り、それは結果的に、黒星の姫の計画の要となりました」
「どちらも、偶然の産物」
「たまたま、このように星の巡りが動いただけ...それにもかかわらず」
「何かの意思が介入しているかのように、物事はとんとん拍子に進んでいきます」
吟遊詩人は、ふと手を止めて
貴方ではない、どこか遠くを見つめました
「...星というのは、観覧者であると」
「そんな考え方もあります」
「天上、私たちの手の届かないところで、悠々自適に私たちを監視し、楽しむような存在だと」
「...失礼、話が少し逸れましたね」
少し咳払いをして、再び言葉を紡ぐ
「2つのターニングポイントにより、白星の姫は、今もうすでに黒星に吞まれそうになっていることでしょう」
「...というのが、ここまでのお話」
「これからのお話は、これからの星が決めることです」
「私は吟遊詩人、起こったことを語るだけ」
「足も動かぬ今、未来を動かすのは最早私の役割ではない」
「然し、こう語ることで」
「星の巡りがつながり、また動き出す」
「ご清聴、ありがとうございました...この先の未来に、星の祝福がありますように」
そう、語りきると
吟遊詩人は、すぐに寝息を立てた
霧は薄くなり、導くように灯りが見え始める
その標を辿れば、貴方のよく知った、見慣れた場所に帰ってこれるだろう
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貴方が帰路につくと、黒い烏が掲示板に1羽、静かにとまる
三本足の、妖怪鴉
導きの、巡りの、
そして、冥府の
貴方の背中をじっと見つめ、そして
興味をなくしたように、またどこかへ飛び立つ
「さて、星の巡り合わせに、期待するとしよう」
黒い羽が、ひらりと落ちた