「赤い振袖の女の子を見ませんでしたか?」
と、話しかけられたのはアズランだった。
あたりを見回しても、話しかけてくるようなキャラクターは見当たらず、
気のせいかと思ったのだが、システムにログは残っていた。
発言者は空欄。
あるはずのないことがときどき起こる。
と言ったら、あなたは信じるだろうか?
それとも、ただのバグだと一笑に付すのだろうか?
私も初めはそうだった。
しかし、時折、忘れたころに囁かれるその声は、少しずつ、確実に、私の心に浸透していった。
気が付くと、赤い振袖の女の子を探している。
この街にいるかもしれない。
この通りの先にいるかもしれない。
この建物の中にいるかもしれない。
この扉の向こうに…
ねえ、そこのあなた。
赤い振袖の女の子を見ませんでしたか?