前回からのつづき。
そんなソチンボーイも晴れて水のはごろもを手に入れたわけで。
嬉しくないわけがない。
そのフレンドから言われた。
これで神僧侶だね、と。
いやいや、紙僧侶の間違いでしょ。
髪僧侶?と返された。
残念ながらその肝心な髪がねーんだよ。
現代にも伝わる様式美溢れる神聖なやり取りである。
そのフレンドも喜んでくれているような気がした。
なんだか嬉しくなった。
だから頑張った。
頑張って僧侶を続けた。
続けたことにより、もうそのフレンドからアドバイスをもらうこともなくなり、肩を並べて戦えるようになった。
実際にそのフレンドからも、上手くなったね、と言ってもらえた。
なんだか嬉しくなった。
そのフレンドがいないPTに誘われた時も、俺が僧侶をやるとたいそう驚かれた。
アンダーソンが僧侶をやっている!しかも、普通に動かせている!
ふふん、君たちはかの呂蒙先生のお言葉をしらんのかね?
僧侶が出来るということでお誘いも増えたし、やはり出せる職が多いというのはそれだけで良いことなんだと思い知った。
全てそのフレンドのおかげだった。
徐々に金も増えていった。
その度に水のはごろもを新調していった。
耐性を充実させ、敵によって使い分け出来るよう部位によってはいくつも購入した。
それをずっと使い続けた。
退魔が出ても買い換えることなく使い続けた。
理由は色々あったが、水のはごろもが好きだったんだと思う。
だからと言ってPTに迷惑はかけられなかったので、必ずそれは伝えていた。
水はご僧侶です、って。
ほとんど野良に行かなかったせいもあって、それが理由で蹴られることもなかった。
恵まれた環境にいたと思う。
それでも流石に精霊王が出た頃には、水のはごろもを脱いでいた。
限界だよね。
回魔が追い付かない。
祈ってベホイミしても全快しないんだもの。
確かその頃だったと思う。
俺は僧侶をやらなくなった。
あんまり理由はなかったように思う。
単純に戦士の方が楽しかったから、とかそんな理由だったような気がする。
でもスキルは切らなかったし、いつでも出せるようにしてた。
装備は水のはごろもだったけどね。
まぁ、当然の如く1度も出番は無かったんだけどさ。
閑話休題。
最近、聖守護者に行くようになった。
それも僧侶で。
暫くやってなかったから全く覚えてなくて、それなりに動かせるようになるまで多少時間がかかった。リハビリってやつだぁね。
再び僧侶をやるようになった理由は色々あるけど、出せる人が出せる職をやればいいっていう俺なりの考えから。楽しくやるのが一番だしさ。
だから、装備もちゃんと揃えた。
流石に水のはごろもじゃあ無理だからね。
そして水のはごろもは結晶にした。
文字通り、俺にとっての汗と涙の結晶。
誇張抜きにしてそう言える。
それだけ大切な装備だった。
いやまぁ、消えて無くなったんだけどさ。
持っていたところで装備することは2度と無いし装備枠は圧迫するしバザーに流してゴールドに替えて何か他の物を買ったほうがいいし、理由はいくらでも並べられる。
とにかくまぁ、綺麗さっぱりってやつだ。
おかげで聖守護者には楽しく通えている。
まだⅠを倒せるようになってⅡで苦戦してる程度のレベルだけれども、気の合う仲間と挑む強敵ってのは楽しいもんだ。
あーでもないこーでもないと言いながら少しずつ強くなってる。はず。と思いたい。
そういう意味では、俺は本当に仲間に恵まれていると思う。
感謝しかない。
だから、俺に僧侶を教えてくれたフレンドには本当に感謝してる。
あの時、半ば強引に俺に僧侶をやらせたあのフレンドがいなければ、きっと、いや間違いなく俺は今でも僧侶なんてやってない。
昨日関西で起きた地震のニュースを見て、なんとなくそんな事を思った。
そのフレンドが関西だったからさ。
2年くらい前に「休止する」と言ってフラッといなくなり、それっきり。
今頃どうしてんだか。
ただただ無事でいてくれと願うばかり。
俺が尊敬してる人が言ってた。
捨ててしまったもの戻ってこないけれど
なくしてしまったものなら急に帰ってくることあるだぜ
結晶にした水のはごろもと違って、もしかしたらそのフレンドにはもう一度会えるのかもしれないな。なんてね。
追伸
そのフレンドは俺と同性です。
異性だったら最高だったな!