私は元の位置に戻って【イスに座る】
「この世界では、たくさんの出会いがあるけどさ。エルみたいな結婚目的とかそういうマッチングアプリみたいな、ゲームじゃないんだぜ」
彼から白チャのマークがない。黙って聞いてくれてるようだ。
「確かに、エルにとってはたかがゲームで、奥さんも何でこのゲームをえらんだのかわかんないかもしれない。決してリアル=現実とは言えないけど、この世界で誰かと笑って、悲しんで、怒って、恋をしてる人もいると思う。そうやってこの世界で生きてる人たくさんいるんだぜ」
私もその1人だしな
「だから思うんだ。会話もなく引きこもってたエルの奥さんは、唯一このゲームが楽しみだったんじゃないかって。何もなかったように見えて、奥さんはこの世界で生きてたんだよ」
限界だ。もうこれが私の言葉の。これ以上は説教みたいになる。そう、これはゲーム。踏み越えちゃいけないラインがある。それがネトゲ。
「仕事して、金を入れてやって、不自由ない暮らしさせてやっただけじゃ、やっぱダメだったってことか」
その後もエルは奥さんの悪口ばかり言う。
「仕事中にゲームをして会社クビになったんだあいつは」
「俺が仕事している間にこのゲームの男と会って」
「家事もろくにしない、ゲームばかり。vcの笑い声がうるさくて」
彼の遅いチャットで出てくる言葉には、奥さんの名前が止まない。私は黙って聞き続けた。全部話し終えたのか、数分間沈黙が続く。
「でも、いなくなってみたら。寂しい」
ーーー
彼はその後ガタラから立ち去り、アストルティアからもいなくなってしまいました。最近の時事ネタで、オンラインゲームで知り合って、事件に巻き込まれたニュースを見てオンラインゲームってやばいものなんだ、と思う人もいると思う。たかがゲーム、それでも人生を良い方向にも悪い方向にも捻じ曲げてしまう力があるのがオンラインゲーム。今回のエル男さんや奥さんのようにもな