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ガオー牙王

イッキュウ

[イッキュウ]

キャラID
: MO364-367
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: レンジャー
レベル
: 138

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イッキュウの冒険日誌

2025-05-05 09:52:32.0 テーマ:その他

光を継ぐ者達 閑話 黒き霧の向こうに

閑話 黒き霧の向こうに 

ドルワーム王国。
その最奥にそびえる賢者の塔は、まるで蒼天を突き刺すかのように高く聳えている。
塔の頂に立つ少女、セリア=ドルタムは、遠い地平をじっと見つめていた。

その瞳に映るのは、穏やかな王都の景色ではない。
遥か彼方に滲む、黒き霧――それが、確かに近づいてきていると、彼女は感じていた。

王女として生まれ、民に寄り添い、王族の義務を学んできたセリア。
だが彼女が望んだのは、王の座ではなかった。
彼女がなりたかったのは――民を守る“盾”

旅立ちの日、セリアは父王の前で静かに言葉を紡いだ
「骨喰らいの魔王が目覚めた今、王座にとどまることが最善だとは思えません。
私は三闘士の血を引く者として、彼らの意志を継ぎ、未だ知られぬ後継者たちを探します。そして……」

言葉を一つ置き、彼女ははっきりと告げた。

「……人々を守ります。剣も、魔法も、王家の威光もすべて――民のためにあるべきです」

父王は何も言わず、目を閉じ、深く頷いた。



旅路は過酷だった。
セリアは王女の身分を隠し、名を名乗らず、人々の間に溶け込んだ。
そこには玉座からは見えない“地に生きる者たちの現実”があった。

彼女が通った村々には、骨を纏った魔物の爪痕が必ず残されていた。

 焼け落ちた家。
 祈る孤児。
 冷たくなった妻を抱えたまま、動かない男。

だが、その闇の中にも、小さな希望は確かに息づいていた。

ある村では、病に伏す少女が村の隅に横たわっていた
家族もなく、誰にも気づかれずに。

セリアは迷わず少女の傍に膝をついた。
回復の魔法を何度も唱え、水を運び、額を拭い、手を握り続けた。
夜が明ける頃、ようやく少女が目を覚ます。

最初に漏れた言葉は――

「……ママじゃないのに、どうして……?」

だった。

セリアは優しく微笑み、少女の額に手を添えた。

「ママじゃなくても、人は人を助けることができるのよ。
それを“優しさ”って呼ぶの」

少女は涙を浮かべ、声にならぬ「ありがとう」を何度も繰り返した。



別の町では、魔物に襲われた直後の混乱に身を置いた
人々が恐怖に立ちすくむ中、広場に炎が迫る。
だが、火の粉舞う中で一人、盾を掲げる少女の姿があった。

「……フバーハ」

呟くように唱えた魔法が、炎を遮る透明の障壁を生み出す。
その陰で、がれきの奥に幼い子どもが震えていた。

セリアは迷わず駆けた。
炎を盾で払い、瓦礫を越え、子どもを腕に抱き上げる
その背に、衛兵の叫びが届いた。

「姫様っ! お逃げください! こんなところにいては――!」

振り返ることなく、セリアは叫ぶ。

「“盾”が逃げて、誰が人を守るの!?」

広場の喧騒を貫くその声に、衛兵の足が止まる。

「私を守る余裕があるなら、一人でも多くの命を背負って逃げなさい!
時間は、私が稼ぐ!
私は“盾”、民を守るためにここにいる!!」

衛兵は目を見開き、唇を噛んで頷くと、背を向けて走り出した。

セリアは腕の中の子どもにそっと囁く。

「もう大丈夫よ……私がついてるわ」

その瞳に、怯えも迷いもなかった。
彼女は王女である前に、ひとりの“盾”である覚悟を選んでいた。



旅を続ける中で、セリアはある噂を耳にした。

「……山を越えた先に、小さな寒村がある。
そこには、古びた斧が祀られている祭壇があるらしい」

セリアは静かに呟いた。

「……これは、導き……?」

胸の奥に、確かな予感が灯る。
旅が“次の段階”へ入ったことを、彼女は直感していた。

盾を背に、セリアは歩を止めない。
その先に、“閃光の後継者”がいるとは知らぬままに




遠く離れた漆黒の聖域。
骨の玉座に座す魔王が、紅の瞳で静かに笑った。

「ようやく始まるか。三闘士の血よ……まだ抗うつもりらしいな」

骨喰らいの魔王。
世界に禍をもたらす者。

彼の者の背後で、眷属たちが無言で膝をつく。
その中から一人、白金の仮面をつけた男が進み出た。
漆黒の法衣を纏う知の参謀――ハーゼル。

「王よ、セリア=ドルタムの動きは把握しております 彼女を通じ、後継者の一人は確実に炙り出せましょう」

「よかろう。ならば見せてみよ――
希望が砕かれる、その瞬間をな」

骨喰らいの魔王の瞳が、遥か彼方の地を見据える。
そこに、“光の戦士”と呼ばれる少年がいると知りながら――

そして今、セリアの旅路は、リクの住む村へと辿り着こうとしていた。

後継者たちの運命が交わる時、世界は静かに動き始める。


――第二章へ、つづく。
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