第六話 決戦
魔王の前に、六人が並ぶ。
黒い空、崩壊する世界。
その中心で。
魔王が、わずかに目を細めた。
「……ほう」
低い声。
「これは驚いた」
カブがニヤリと笑う。
「よう」
斧を肩に担ぐ。
「随分と小さくなっちまったじゃねぇか、フォドラスさんよぅ」
魔王が嗤う。
「ふはははッ!」
「我は獣ではない」
「フォドラスの力を宿す終焉の王」
「ドワーフごときが気安く語る存在ではない」
リクが一歩踏み出す。
「ここで、お前を討つ!!」
セリアが続く。
「世界は、私たちが守ります!」
バロムが笑う。
「その顔、ぶん殴ってやるぜ!!」
リクが叫ぶ。
「みんな!力を貸してくれ!」
「世界を救うんだ!!」
魔王が腕を広げる。
「ならば見せてみよ」
「終焉に抗う、その愚かな意志を」
次の瞬間――
魔王の魔力が、爆発した。
圧縮されていた闇が一気に解き放たれ、黒い奔流となって空間を喰い破る。
大気が裂け、視界が歪む。
重力すらねじ曲がり、六人の身体を押し潰そうとする。
それは“攻撃”ではない。
存在そのものを消し去る、終焉の闇だった。
だが――
「みんなを守るよ!セリア!」
「はい!ドルタム様!」
セリアとドルタムが同時に踏み出す。
盾が掲げられた瞬間、光が爆ぜた。
純白の輝きが空間を塗り替え、二人の前に幾重もの光の層が展開される。
「守りたいという想いを込めて!」
「はい!!」
声が重なる。
「「神域!!」」
次の瞬間――
黒と白が衝突した。
衝撃波が球状に弾け、周囲の空間を押し広げる。
完全なる拮抗、そして、霧散。
魔王の放った終焉の奔流は、光に呑まれ、音もなく消え去った。
空間が、一瞬だけ静止する。
その刹那。
「次はこっちだ!」
「いくよバロム!」
ナンナとバロムが同時に踏み込んだ。
踏み出した瞬間、大気が悲鳴を上げる。
大気が爆ぜ、衝撃が爆発的に広がる。
「「震天クラッシュ!!」」
振り下ろされた戦鎚が空間を歪ませる。
直撃。
轟音と共に、魔王の身体が大きく沈む。
空間ごと押し潰すような一撃。
その衝撃が内部にまで叩き込まれる。
魔王の巨体がわずかに揺らいだ。
「いくぜ兄弟!」
「うおぉぉぉ!!」
間髪入れず、カブとリクが踏み込む。
空間そのものを置き去りにする踏み込み。
斧に、力が集まる。
大地の鼓動。
山の重み。
大地の力が刃へと収束していく。
「「大地烈斬!!」」
斬撃が走る。
それはただの刃ではない。
大地そのものが振り下ろされたかのような一撃。
魔王の身体が裂けた。
初めて、確かな手応え。
亀裂が走る。
その瞬間――
「……なに……」
魔王の声が、わずかに揺れた。
初めての動揺。
その一瞬をナンナは見逃さない。
「叩き込め!!」
「おうよ! 喰らえッ!!」
バロムが咆哮する。
筋肉が膨れ上がり、限界を超えた力が解放される。
「「震天大旋撃!!」」
超絶怒涛の連撃。
暴風のような打撃が魔王を飲み込む。
一撃ごとに衝撃が爆ぜ、空間が軋む。
骨の装甲が砕け、破片が光となって散る。
圧倒的な物理の嵐。
その中心で、魔王の身体が削られていく。
「いけ!リク!!」
「今だ!!」
カブの声。
次の瞬間――
力が流れ込む。
カブのすべてが、リクへと重なる。
「閃光王の鼓舞!!」
全身が光に包まれる。
視界が白く染まり、世界が静止する。
リクの中で、カブの姿が重なる。
「これで――終わりだ!!」
斧を振りかぶる。
すべてを込める。
仲間の想い。
受け継いだ力。
選び取った未来。
そのすべてを、刃に乗せる。
「「閃光――」」
音が消え、風が止まる。
世界が息を呑む。
「「超斬撃ッ!!」」
振り下ろされた瞬間――
光が、爆ぜた。
閃光が空間を引き裂き、直線となって魔王を貫く。
その一撃は、もはや斬撃ではない。
世界そのものを書き換える光。
終焉を否定する、意志の刃。
閃光は、魔王を貫き――
そのまま、空の彼方まで突き抜けた。