文化祭・体育館ステージ。
ツナグ「次でラスト。来てくれて、聴いてくれて――ありがとう」
静まり返る会場。
ツナグ「この曲は、みんなにも参加してほしい。きっと分かるから。感じたまま、歌ってほしい」
カナデ「大丈夫。独りにしない。それが“バンド”でしょ?」
ツナグ「……ああ。じゃあ、いこう」
ヴァイオリンとキーボードが静かに始まりを告げる。柔らかな音が、観客を包み込む。
ツナグ(歌)
「退屈な毎日から逃げたくて ただ刺激を求めて歩いた
でも限界が来て 迷って 無駄にして
そんな時 君が手を差し伸べてくれた」
楽器は一歩引き、声を際立たせる。
「振り返ると いつも君が微笑んでくれるから
どんな今も これからも生きていける
君と出逢えたこと それが僕の幸せ」
ツナグ「……遠慮しない、いくよ」
「君となら どんな牢獄でもいい
痛みも悲しみも 分け合えるのは君だけ
どうしてそこまで?って聞いたら
“バカだね”って笑ってくれた」
声が震える。
「君がいたから 僕は――」
一瞬の間。
「振り返ると いつも君が微笑んでくれるから――」
楽器が再び重なり、音が広がる。
ツナグ「来なよ。一緒に騒ごうぜ」
リズムが跳ね、熱が上がる。
「君と歩いて やっと生きてると感じた
悲しみは消えて ただ君といたい」
ツナグがマイクを観客へ向ける。
ツナグ「さあ、みんなで!」
ざわめきが一つの声へと変わる。
観客
「振り返ると いつも君が微笑んでくれるから
どんな今も これからも生きていける
君と出逢えたこと それが僕の幸せ!」
繰り返されるサビ。重なり続ける声。
ツナグ「ありったけの感情で――叫べ!」
「おおおおおおお!!」
体育館が震える。
歌が、声が、心が――一つになる。
ユミ「……会場が、歌で繋がってる」
ネア「どう? これでも無視する?」
曲が終わる。
一瞬の静寂。
――爆発。
「アンコール!アンコール!!」
ツナグ「……え、マジ?」
シアン「やったな」
ヴェル「最高のサービスだろ?」
リエル「応えない理由、ないよね?」
ツナグ「でも……次、考えてない」
カナデ「ここで逃げたら、バンドじゃないよ?」
ツナグ「……だよな」
深く息を吸う。
ツナグ「じゃあ――これが本当のラスト。聴いていってくれ!」
歓声が天井を揺らす。
ネア「……ライヴハウス以上ね」
ステージと客席、その境界はもうなかった。