2014-04-22 00:49:48.0 2014-08-09 08:19:11.0テーマ:その他
ゆうはん。(仮)4 「ご飯とおかず、どっちがいい? 世界をはんぶんこにしたら」「お弁当感覚ッ!? てか、バランス良くどっちも欲しいわ!」
4
「やーい、金パツ縦ロール好き魔王~!」
「ちょ、それ、やめぇッ! くっそぉ、勇者め、はらわたを抉り出してやるぅッ!」
「いやだよ! ご飯食べられなくなっちゃうぢゃん!」
「言葉の『あや』だ、バカ勇者!」
「ばっ、バカって言ったな! もー許さないぞぉ!」
「え、そこでやる気出すの、貴様?」
ゆうしゃ の こうげき!
「お前がウチの姫さんさらったもんだから、ぼく、大変だったんだぞー、魔王!」
勇者が巨大な剣を振り下ろす――がきん! っと鈍い音が鳴り響いた。魔王が持っていた杖で弾いたのだ。だが、これで終わりではない。すぐに次が来る! そう直感した魔王は後方へ飛び退く。確かに勇者は二撃目を放っていた、が、見事空振った。読み通りだった。その一瞬を逃さない。 魔王は呪文を詠唱――、
まおう の こうげき!
「何を言うか、勇者よ! せっかく幽閉しておいた姫を、余が迎えに行く前に、貴様は奪還したではないか!」
魔王が杖に込めた魔力を解き放った! いくつもの光の弾丸が勇者を襲い、彼の身体に触れる寸前で爆発を引き起こす。ひとつひとつの衝撃は大したことはないが、数が多すぎた。全包囲の爆破によって逃げ場を失った勇者はまともに喰らう羽目になってしまった。膝を着き、癒しの魔法を自身に掛ける勇者。
「く……ッ。やるな……、金パツ縦ロール好き魔王……!」
「まだ言うかッ! ……だ、だが、まぁよい。姫なら貴様を葬ったあとで余が直々に頂きに参ろう――」
「ああ、そうしてくれると、ぼくも助かるよ。……なにせ、あの姫さん、ベタ惚れだからね、勇者のぼくに」
「え? なんだって?」
「捕まってた姫さんを救ったら、惚れられてしまったんだ……」
「なん、だと……ッ!?」
「魔王。このまま、お前を倒して帰れば、十中八九、ぼくは婿にされてしまう……」
「う……、そ、それは!」
まおう は おもった!
……な、なんてうらやましい! 生まれ変わったら、余も次は、勇者になりたいなぁ、なんてw
が、勇者は言った。
「正直、困る!」
「ええええ!」
「ぼくは自由でいたいんだ。王宮暮らしなんてまっぴらだ」
「いやいやいやいや! 貴様は勇者だろーが! 勝って姫と結婚して王族入りなんて、すげー逆玉じゃんか! それがハッピーエンドってもんだろぉが!」
「果たして、それが本当のハッピーエンドなのでしょうか?」
「……あ?」
「ぼくはそんな私利私欲が満たされるエンディングよりも、なんていうか、こう……、平和になった世界中を見届けたあと、かつて滅ぼされた故郷にひっそりひとりで帰って、そこであのとき死んだはずの幼馴染みが蘇ればいい……、それだけで、いいよ。……そんなハッピーエンドが、うん、いいなぁ……」
「ええッ! ……ゆ、勇者よ……、それは、誠か? 貴様の故郷は余の魔物たちによって、すでに……?」
「……その話は、もう……、いいんだ……」
「あ……、何と言うか、その、……す、済まなかったな、勇者よ……」
「そもそも、ぼく、孤児だし。どこで生まれたか知らないし、地元っつっても育ったのはウチの城の城下町だし」
「ええええ! 違うのーッ? なんだよさっきの話ぃッ! ビックリさせんなよもーぉ! 余のせいで不幸の主人公にしちゃったかと思ったじゃーん!」
「たまたま持ってた『しるし』と『呪われない体質』のせいで勇者にされただけだし」
「……勇者よ、いま、さり気なく伏線張らなかったか?」
「は? 魔王、なんの話?」
「いや、気にせんで良い。それよりも貴様、なおさら姫と結婚したほうが良いのではないか?」
「ええー、ヤダよー! だって、すげーわがままなんだもん、あの姫さん。お城に連れて帰るまで、ず~~~っと、お姫様抱っこさせられたんだよ?」
「まぁ、お姫さまだからな~ぁ」
「まんまだよ! てか、宿屋寄ったら『お楽しみでしたね♪』とか言われるし! 絶対誤解してるよ、あの宿屋の主人! するワケないよ! 14歳相手に手ぇ出したら犯罪じゃんか!」
「え、ちょ……ま、待て。……待つのだ、勇者よ」
「はい? なに、魔王?」
「今、なんて言ったかな? 14歳がどうのとか……?」
「ああ、そーだよ。ウチの姫さん、まだ14歳だけど、それが何か?」
「ええええええええッ!」
「わっ、ビックリだ! いきなりどったんよ、魔王?」
「ひ、姫が14歳だとぅ……ッ! あ、あの容姿で……ッ?」
「あー、魔王、姫さん、好きなんだっけ? ……ぷぷッ、魔王の、ロ・リ・コ……」
「それ以上、言うなーーーーッ!」
限りなく魔界に近いと言われている大洞窟の最下層――。
勇者と魔王は激戦を繰り広げていた。
……恐ろしく、くだらない激戦を……!
つづく。
※この物語はフィクションです。