番外編 その1
「腹ぁ、減ったな……」
「そぉでやんすねぇ、あにき」
「最後に飯食ったの、いつだ……?」
「おとといの夜くらいじゃないでやんすかねぇ」
「なに、喰ったっけ……?」
「たしか、あにきが薬草で、あっしが毒消し草でやんすよ」
「草って、オマエ。…………くさって……、オマエ……」
「空腹が最高のスパイスってホントでやんすねぇ」
「苦味オンリーだったけどな……」
「意外といけるもんでやんしたね」
「まぁ、いいや。……んで今、いくらあるっけ……?」
「えー……っと。あっ、見てくださいよ、あにき!
ばんそうこうが二枚もあるでやんすよ!」
「……答えになってねぇよ」
「いやいや、あにきのことだから、うっかりしてまた転んぢゃうかもしれないでやんすよ?」
「んだとぉ……! おいコラてめぇ、バカにしてんのか……?」
「なに言ってるでやんすか? あのときコケて、有り金ぜんぶ落としたのは、あにきでやんしたよね?」
「……ああ、そうだったな……、いやぁ、うっかりうっかり、あっはははーッ!」
「あはははでやんすね~」
「まぁ、あんときは、そのぉ、なんつーかぁ、こう……、すみませんでしたーッ!」
「いいでやんす、頭を上げてくださいでやんすよ、あにき。にんげん誰しもミスはあるってもんでやんす」
「オマエぇ……、優しいな~ぁ」
「おなかが空いても、こうして笑ってられるほうが、生きてる価値があるってもんでやんすよ~、にんげんとして!」
「まぁ、人は空腹でも死ぬけどなー、あっははははー」
「そうでやんしたね~、あはははでやんす~」
「あと、いっこ、いいかな~?」
「なんでやんすか、あにき~?」
「……オマエ、人間じゃないだろ?」
「ぎくぎくぎくぎくーッ!」
「それ、口で言うヤツ初めて見たぞ」
「ちょ、まっ……、えっ、いや、なっ、なに言ってんでやんすか、あにきー! もー、冗談はやめるでやんすよ、あにきー!」
「いや……、だってほら、オマエ不自然に、二・五頭身だし」
「ぎくーッ!」
「なんか毛深いっつぅか、全身毛皮っぽいし」
「ぎくぎくーッ!」
「耳、頭の上に生えてたし」
「ぎくぎくぎくーッ!」
「しっぽ、生えてるし……」
「やんすーーーッ!」
「……どぉ見ても人間じゃないよな?」
「なんば言っとーとでごわすかッ! おらぁにんげんでおまっしゃろがじゃッ!」
「おい、待て、不自然な方言はよせ。てか、俺ら、初登場なんだから、キャラを崩すな」
「あにきが変なこと言うからでやんすよー!」
「………………」
「? ……あにき? どしたでやんすか?」
「よし、オマエを売りとばそう!」
「あにきッ!?」
「金貨二枚分くらいにはなるよな?」
「ちょっ、まっ、で、やんすぅぅぅ~~~ッ!」
「……ウソだよ、ウソ! まぁ、その、なんてーか、こう……、正直に言ってくんねぇかな? 気になっちまって腹が鳴り止まねぇんだよ」
「うぅぅ……、そりゃ空腹のせいでやんすよ……。ま、でも、たしかにあっしは、にんげんじゃないみたいでやんす……」
「ほらみろ、どぉもおかしいと思ってたんだ」
「でも、あっしは……、自分が何者なのか、よくわからんでやんす……」
「ほほぅ、人外ってことは認めるんだな。……たぬき型モンスターってことで、おk?」
「……あ、もしもし? 空腹だけどそれ以外は比較的健康そうな成人男性の内臓各種って、それぞれいくらで買い取ってくれるでやんすかね……?」
「ちょいちょいちょいちょーい!」
つづく。
※この物語はフィクションです。