番外編 その2
「すんませんしたーぁッ! 俺が悪かったーッ! てか、どこと通信してんのーって、言うより、そのファンタジー世界に在り得ない機器はなにーぃッ!?」
「スマホでやんすよ」
「え、なんだってッ!?」
「素のままに魔力を保つ、と、まぁそんな感じの魔導機具でやんす」
「よし、売ろう! いい値になりそうだ」
「ダメでやんすよー!」
「なんで? いいじゃん、減るもんじゃないし」
「減るでやんすよ! てか、通り越して無くなるでやんす!」
「いいか? 世の中、等価交換だろ?」
「そりゃそうでやんすけど! 話がズレてるでやんす!」
「あ、悪ぃわりぃ、いつもの癖だ」
「もぉー、でやんす。……とにかく、あっしは自分が何者なのか知る旅の途中なのでやんすよ」
「それが、どぉして盗賊なんてやってんだか……、ったく」
「そりゃぁ、この姿でやんす。生き延びるためには選んでらんないでやんすよ」
「…………」
「あっしは、いつどこで生まれたのかも分からず、住む場所もなく、毎日ぎりぎりで生きてきたでやんす。あのときでやんす、――魔物どもに絡まれたとき、あにきたちに助けてもらってなければ、こうして生きていられなかったでやんすよ」
「違ぇよ。姿なんて、関係ないさ」
「……あにき?」
「俺だって、もともと孤児だ。親に捨てられて、どこぞでゴミ箱漁ってた毎日だ。御頭に拾われてなきゃ、とっくに野垂れ死んでたさ。オマエと同じなのさ」
「あにき……」
「そんな顔すんなって」
「……へへへッ、ハイ! でやんすッ☆」
「おう、オマエにゃ暗い顔は似合わねぇからな」
「……それにしても、おかしら、どこ行っちゃったんでやんすかねぇ」
「さぁな……」
「おかしらが、いきなりいなくなって、仲間のみんなもバラバラになっちまったでやんすね」
「テメェらもう十分だろ、そろそろ自立しろっ、……てことだろ? たぶん」
「あっしがこんな姿でも、おかしら、何も言わず仲間に入れてくれたでやんす」
「ああ、良い人だったよな、御頭は。……あのさぁ、オマエ」
「? なんでやんすか、あにき?」
「その、なんつーか、こう……、いいんだぜ?」
「? ――ああッ! はいはい、そうでやんすね。……もしもし? パスポート無しで行ける遠くの国での労働希望者が見つかりましたので、つきましては、仲介料っておいくらになるでやんすかね?」
「ちょいちょいちょいちょーい! 待て待て待て待てッ!」
「え? なんでやんすか、あにき?」
「俺を売りとばそうとするなーッ!」
「覚悟、出来たでやんすよね?」
「違うわッ!」
「……ちっ」
「舌打ちされただとーぅッ!?」
「まぁ、冗談でやんすよ」
「……うろぉぉぉおん……、弟分に売られそうぉになったよおぉぉ……」
「で、なんでやんすか? ああもぉ! 泣きやむでやんすよ」
「うぅぅ……、そぉじゃないんだよぉ。……オマエ、俺なんかについて来なくたって、いいんだぜって、言いたかったのぉ……ッ!」
「何言ってンでやんすか! あっしはあにきの子分でやんす! あにきの夢は、あっしの夢でやんす!」
「お、オマエぇ……ッ!」
「あにきも、おかしらみたいな、立派なギゾクってやつに、なるでやんすよね?」
「お……、おぅさッ! まかせろッ! ――義賊キングにッ、なるよッ、俺ッ!!」
「いよッ! あにきッ! ……聞き飽きたパクリ台詞だろうと、なんとなく雰囲気で、カッコイイでやんす!」
「ひとことうっさいよ、オマエ!」
「あっしもなるでやんすー!」
「……てか、もう夜になったじゃねぇか……。まずは自分らの飯なんとかしねぇと、義賊する前に、ホントに野垂れ死んじまうぞ……」
「あにき、あにきッ!」
「ん? なんだよ、元気だなー、オマエ……」
「さっきそこの張り紙を見て、思いついたんでやんすけど」
「はぁ? ……なになに? ――生誕祭、近し……?」
「とりま、お姫様かっさらって、身代金要求するでやんすッ!!」
「ちょ、待っ、おま、……なんかそれ理想の義賊っぽくないから、やっちゃダメーッ!」
おわり。
※この物語はフィクションです。