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砂漠のじごくのハサミ

ノノ

[ノノ]

キャラID
: TQ400-888
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: パラディン
レベル
: 136

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ノノの冒険日誌

2014-05-24 08:02:52.0 2017-01-12 05:43:37.0テーマ:その他

ゆうはん。(仮)21 「ねぇ……」 「はいはい? なんでしょう、姫様?」 「あんたのこと、なんて、呼べばいいのかな……?」 「どうぞ、姫様のお好きなように」 「……じゃ、じゃぁ、さぁ……」


 第2章 その12


「ちなみに、姫様を寝衣のままにさせておいたのは、その方がよりリアリティがあるからなのですよ」
「そぉいえば、あたし、パジャマのままだったーっ!」
「忘れていたワケではないのですよぉ~ん。ささっ、お急ぎなさいな~」
「こ……っ、んのぉぉぉおおおお……ッ!」
「きゃぁっ!」
「ちぃっとばかし、我慢してくれよな、姫さんよッ!」
 盗っ人が姫を抱き上げた! そして、
「しゃぁッ! 行ッくぜぇ……」
 と、いざ駈け出そうとした瞬間、
「――おいっ」
 メイドに引き留められる。

「……大事なとこで、もうコケんじゃねぇぞ、小僧?」

「――ッ!?」

「あの賊が怪しいぞッ!」 「牢屋へ急げッ!」 「皆の者ッ、地下へッ!」

 ヤバいぞ!
 兵士たちの足音が近づいて来る!
「じゃ、まぢで行くぜッ! ――いいかッ?」
 文字通り、お姫様抱っこの盗っ人だ。
「最後に、いっかい、呼んでも、いい……?」
 と、盗っ人の腕の中から、姫が。
「はい、どうぞ」
 ニコリ、とメイド。

「――おねぇちゃぁあああぁん……っ!」

 そして、盗っ人は駈け出した。
「いってらっしゃいませ、姫様――」
 妹のように愛する者へ。
 メイドは手を振り続けていた……。








 城壁を越え、気づけば民家の屋根から屋根へ。
 明けかかった空の下、盗っ人はまさに疾風の如く、町を駆け抜けて行った。
 その両腕にお姫様を抱えて、だ。
「……なぁ、今日って、姫様の生誕祭だったんだろ?」
「うん……」
「なんだってそんな日を選んだのかねぇ?」
「警備が、お城の中だけに集中するからって。みんなのご飯に薬を混ぜたんだって」
「なー……ッ!? まぢかよぉ、ったく、半端ねぇな……、毎度毎度」
「え……っ?」
「いや、なんでもねぇ。にしても、俺ぁ平気だったけどな。あれかね、やっぱ牢屋の飯にまでは入れなかったのかな」
「さぁ。わからないけど……?」


 思い出したように盗っ人が言う。
「……お姉ちゃん、か。なんか、良いよなぁ」
「……うん。普段、あんまり呼ばないけど。……あいつが、ウチに来てから、本当の姉が出来たみたいで、あたし、うれしかった……」
「なら、本人にちゃんと言うんだな」
「え……っ?」
「まっ、そのうち、な」
「……うん」
「俺は孤児でね。親も兄弟も居ねんだわ」
「そぉなんだ……。でも、誰か待ってるって……?」
「ああ、そうだったな。居たわ、ひとり。つっても、弟分だ。血のつながりは無ぇよ」
「へぇ」
「てか、血ぃつながってるワケがねぇ。ヒトじゃねぇし」
「え……っ?」
「まぁ、見りゃ分かるさ。うん、なんだろな、ありゃぁ……、なんつーか、こう……、まっ、可愛い家族だよ」
「…………」
「? なんだい? 姫さんよ」
「顔、赤いよ?」
「うっ、うっせぇ降ろすぞッ、ばーろぉッ!」
「……重くなった?」
「ぜんッぜん! 逆に、軽すぎるぜっ。ちゃんと飯食ってんかぁ? 姫さんのくせによ!」
「あっ、いやっ、でもっ、そろそろ、降ろしてほしい、かな……、ちょっと、恥ずぃ、かも……」
 ヤバい。
 意識すると。
 思い出してしまう。
 ……あのときも、ずっとお姫様だっこされてたっけ。
「今さら何言ってんだよ。てか、こうした方が早ぇんだよ。それに…………ほらよっ!」






 町はずれに、馬車が見えた。
 そして、……?
 なんだろう、小さな、ヒト……? なのか。
 とにかく、何者かが、元気よくこちらに両手を振っていた。



「あにきーッ! もぉ、遅いでやんすよーっ! 早くしろっでやんすーッ!」







「見ろよ、姫さん。夜が明けるぜ?」
「――うんッ!」


第2章 完。













































































「あ、そうそう、姫様。お誕生日おめでとうございました」
 と。
 独り言のつもりで、メイドはつぶやいたのだが、
「やられたよ……、これは、一体どぉいうことだい?」
「…………あらあら、お早う御座います。――黒ぶちメガネ様」
「……その呼び方、やめてくれないかな……?」
「では、呼び方を変えましょうか――、鈍色の大魔道士さん」
「ほぉ……、それで――、ひめさまはどこだい?」
「さぁて、ね……♪」






※この物語はフィクションです。
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