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砂漠のじごくのハサミ

ノノ

[ノノ]

キャラID
: TQ400-888
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: パラディン
レベル
: 136

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ノノの冒険日誌

2014-08-02 07:20:57.0 2014-08-02 08:22:43.0テーマ:その他

ゆうはん。(仮)33 剣と少年、そして。


 第3章 その12


「――貴様は、勇者なのだろ――?」
「――いいえ、私は勇者ではありません。まわりが勝手に私をそう呼ぶ、それだけです――」

 もしも……、互いに認め合えば、違う未来があったというのか……?



 静寂。


 いつの間に、眠ってしまったんだろう?
 少年は目を覚ます。
 のろのろと起き上がり、辺りを見渡した。
 そこには、“誰も”いなかった。
 ややあってから、少年は獅子型モンスターの亡骸に近寄った。
 その巨体によじ登り、胸部に突き刺さった剣に手を伸ばす。
 しょうねんは おもった。
 ……急所を一撃! って、やつか? ……すごいよな、ったく……。
 柄を握り、ぐっと力を入れて、少年は一気に引き抜こうとする! ……が、
「んぐぎぎぎぎぎぎ……ッ!」
 そう簡単には、いかないようだった。
 筋肉か骨かに、喰い込んでいて、なかなか抜けそうにない。臓器がマヒして固まってしまったのであろうか。剣はびくともしない。
 もしかしたら、もう二度とこのモンスターが蘇らぬよう、封印の意が込められているのかもしれない。
 だけど、この剣だ。
 この剣なんだ。
 ここには、この剣だけが、残されていたのだから。
 何としてでも、余が、いや――“ぼく”が、受け継がねば……!
「ぬぎぃ~~~~~~ッ!」
 柄を左右に振るように、渾身の力を込める。抉るように、抜くべし! 抜くべし! 抜・く・べ・し……ぃッ!

 …………と、

「や……っ、やったああああーーーーーーーッ!」
 少年は思わず歓喜の声を上げた。
 ついに剣は引き抜かれ、受け継がれたのだ。

 しょうねんは ゆうしゃのつるぎを てにいれた!

 その瞬間、
「こ、これは……、一体……、どゆこと……?」
 モンスターの なきがらが かわっていく。
 今までそこにあったはずの巨体がすべて、風に舞う砂塵のように崩れ去り、少年は地面に膝を着いた。
 舞い上がった粒子は、きらきらと輝きを放ちながら、一点集中ぎゅ~~~っと凝縮し、やがてひとつの光球が出来上がった。
 そいつはしばらく、辺りをふわふわと漂って、少年の片手の上に、舞い降りる。
 それは……、“とある姿”へと……、変わっていき、

「ハぁ~イ! ボク、ピクシー! 仲良くしてねッ!」

「…………………………」
 …………ああ、うん、いや、えー……っと。
 なんだろな、これ、この感じ。
 ひどく懐かしいような、そうでもないよーな、……誰か名付けてくれないかな、この感覚に。
 とにかく、コイツ、なんつーの、こう……、愛らしい姿を、してはいるのだが……、
「はいはいはーい! ここから先はぁ、ボクに、お・ま・か・せッ! きっちりばっちりたのしくやさしくサポートしちゃうよぉ~ん、てへっ! さぁみんな! 準備は、おk~ぃ?」
 ……わざとらしく鼻にかけた声、ガチャガチャと目につく全身の色合い、なにより手のひらサイズでぶんぶんぶんぶんと(パタパタ、なんて生易しいもんではない)、飛び回っているのが、よけいに目障りだった。
 しょうねんは おもった!
 …………あ、わかった、ウザい、だ。うん。なにコイツ、ちょーうぜぇ。
「…………あ、わかった、ウザい、だ。うん。なにコイツ、ちょーうぜぇ」
「ちょいちょいちょいちょーい! 思考が声に出ちゃってるよ~ぉ、きみぃ~ッ?」
 驚愕した奇妙な小物体。ていうか、勝手にヒトの心を読むな!
 少年はそいつにジト目を向けた。
「おい、なにもんだ、お前?」
「ん? 言ったっしょ? ボク、ピクシーだよ!」
「ぴく……しぃ……、だと?」
 そいつは、手のひらサイズで、羽根を生やして、虹色のワンピースを着て、耳が尖っていて、ふわふわきんいろ盛り髪で、見た目の通りを言葉にすると……、
「つまり、あれか? なんつーの、こう……、妖精?」
「そそそそそ! ボク、ようせいさんだよ! よろしくネっ!」
 目の前で浮かぶその小物体がピースサインでドヤ顔を決めた。




 つづく。

※この物語はフィクションです。
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