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砂漠のじごくのハサミ

ノノ

[ノノ]

キャラID
: TQ400-888
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 盗賊
レベル
: 130

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ノノの冒険日誌

2014-09-03 06:37:16.0 2018-02-11 23:16:06.0テーマ:その他

ゆうはん。(仮)38 「ほほぉ、あれが、うわさの、じぇっとすとりーむあたっく、というヤツなのですっ?」 「いや、知らんがな。なにも聞こえん。なにも答えたくないぞ、俺は」



   第4章 その3


「まったく、よのなかには、たったじゅうごさいで、たびだった、ゆうかんなおひめさまも、いるというのにっ?」

「あーぁはいはいすいませんねぇ、ご覧のとおり俺ぁ、世間様にはウトくてねぇ……って、んなことどーでもいいよ。結局お前は一体何者なんだよッ! てか、はやく家に帰れよッ!」
 大人気も無く怒鳴る、詩人さん。
 が、
「イヤなのですっ!」
 ――きっぱり。
「断固拒否となッ?」
[“イオ”には、しめいが、あるですよっ、しじんさんっ!」
「“イオ”……? って、それが、お前さんの名前なのか?」
 どうやら、“イオ”というのが、そのコの名前らしかった。……なんだろう、不思議な名前だ。
 イオは胸を張って元気よく答えた。
「はいっ、なのですっ、しじんさん」
 でも、獣耳フードで覆われて顔半分が見えなくて、不気味だった。
 詩人は厭きれた様に、
「ったく、使命っつったってなぁ、子供がこんな時間にうろつくもんじゃねぇぞ?」
 辺りはすでに、薄暗い。
 もう街の喧騒も届かない。
 ともすれば、こんな街はずれと言えど油断は禁物だ。何故ならば――、
「んぎゃあああっ! あれはっ、あれはなんですっ!」
 イオは悲鳴と共に、詩人にしがみ付いた。
「ほら見ろ、言わんこっちゃねぇッ!」
 詩人は立ち上がり、剣を取った。

 なんと!
 モンスターが あらわれた!

 周囲の闇に紛れても際立つ、その全身の禍々しい黒。
 大きな翼と鋭い鉤爪を持った、鬼のような顔面の鳥獣型モンスターだ。さらにその全長は、人間の子供程の大きさはある。それが三匹も、二人の前にいきなり現れたのだった。
 奇声や唸り声を上げつつ、不快な羽音をはためかせたその姿に、イオが泣きわめく。
「きもいキモイきもいキモちワルイですぅぅぅ~~~っ!」
「ああもぉッ、分かったから、ちょっと離れてろってのッ。くっ付いてると、逆に危ねぇってばッ!」
 詩人はイオの腕を優しく振りほどいた。
 これでも日雇い傭兵を買って出た程の詩人だ。何も飾りで“それ”をぶら下げていたのではない。このご時世、多少の心得は、もちろん、ある。
 そして――、剣を構えた!
「ふふんッ、雑魚がいくら数で来ようと、所詮はザコだぜ? おら来いよッ、俺が相手をしてやるぜッ!」
 詩人は啖呵を切った。言葉など通じるワケがなさそうな相手に。
 ぎゅぐるるるぅ……、と不気味に唸り声を上げていた怪物たちだが、詩人の言葉を受けてなのか、一斉に舞い上がりこちらへと突っ込んで来る!
 モンスターの こうげき!
 と、

「きゃあああこわいこわいなにあれうっそーしんじらんなーいですぅぅぅ~~~っ!」

 しじんは あしをとられた!
「ちょ……、おまッ、バカ何してンだこら、はッ、放せ……ッ!」
 しかし!
 しじんは うごけない!
「うげッ! ぐわッ! ぎゃぁッ! ………………ごっふぅッ!!」
 ――ばったりッ!
 と、怪物三匹による連携の突進攻撃を、まともに喰らって、(それぞれご丁寧に、腹、背中、顔面の三か所へ) そして地面に膝から崩れ落ち、うずくまる、詩人さん。しかして、その足首には、幼女の両腕が……ッ!

「 てめえこら なにしやがんだ このやろう ……ッ!」

「はぅぅ……、このじょうきょうでも、いっくよむとは、さすがは、しじんさん、なのですっ!」
 すると、
 しじんは ぶきみに わらいだす!
「へ……、へへへ……ッ、『啖呵を切った!』 ならぬ、『短歌を詠んだ!』 って、ヤツだぜ……、詩人だけに、な? ……ぐふぅ……ッ!」

 だがしかし
 それは川柳だ!



 つづく。

※この物語はフィクションです。
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