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砂漠のじごくのハサミ

ノノ

[ノノ]

キャラID
: TQ400-888
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 盗賊
レベル
: 130

ライブカメラ画像

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ノノの冒険日誌

2015-01-07 04:42:09.0 2015-01-07 04:47:17.0テーマ:その他

ゆうはん。(仮)45 「おや、お嬢さん、イメチェンですかい?」 「どうも私の眼つきは相手を怯えさせてしまう様なので」 「そのメガネ、良くお似合いですぜ、へっへっへ」


  第4章 その10


 てーれーてーれー、てってんてーん♪
 そんなこんなで朝が来ました。
「おはようございます、お客様。今朝のご気分はいかがでございますか?」
「まぁ、なんつーの、こう……、最悪以外の、なにもんでもないわな……」


 詩人は受付にてチェックアウトをしていた。
 正直、疲れは全く取れなかった。むしろ、倍にでもなった気がする。
「やほーぃ! あったーらしっいーあっさなっのですーぅっ!」
 見れば、玄関先で飛び跳ね回る、獣耳フード幼女の姿が。
 昨夜、詩人がどうにかこうにか部屋に戻った時には、すでにベッドで、ぐーすかぴーひょろ大イビキをかいていたコイツ、――魔法勇者の少女イオだ。
 しじんは おもった!
 ……ったく、お前のせいで、俺が一体どんな目にあったと思ってんだ。おかげでぜんぜん眠れなかったし。ああ、いまいましいッ、いまいましーい!
 すると、カウンターの女性従業員が思い出したように、
「そうそう、お客様、――ゆうべはおたのしみでしたね?」
「なんの話だーッ!」
「いえ、言葉通りの意味ですが、なにか?」
 しかして、その視線の先は、詩人越しの少女イオの姿か?
「いや、ちがうぞ、あいつはぁ、えっと、その、なんてーの、こう……そうッ妹だ、あれは年の離れた妹なんだ!」
 やった!
 しじんは おどろき とまどっている!
「ふふふ、何をそんなに怯えているのです、お客様~ぁ?」
 意地悪く笑うその女性。何故か掛けていた眼鏡に、きらりんっ! と、朝陽が反射。
 しじんは あせった!
「違うんだ、俺は何もしていない、だから違うぞ! それでも、俺は、やってない!」
 ていうか!
 しじんは あきらかに キョドっている!
 が、
「――まさか、目隠しで荒縄拘束放置プレイだなんて、なかなかやりますのねぇお客様、ふふふふ……っ!」
 じょせいの ひとみが あやしくひかる!
「えええええーッ! そっちーーーッ? ていうか、なんで知ってンのーッ!」
 しじんの さけびが こだまする!
 ……てか、知ってたのなら助けてくれてもよくねッ? いや、アレ、男湯での話だったよね?


 こうして、流浪の詩人と魔法勇者の少女イオは宿を後にし、街を出た。
 ついに――、冒険の始まりである!
 と、意気込んではみたものの、辺りはどこまでも田園風景が広がっていた。そののどかな空気感たるや。そこにはきちんと舗装された一本通りが続き、ただ道なりに進んでいるだけだった。
 それでも元気一杯に行進していく少女イオ。
 後ろに続く詩人が、その真っ白なケモ耳フード姿に声を掛けた。
「なぁ、イオちゃんよ」
 少女は交互に手を上げ、足を上げて歩きながら、振り向きもせずに、大きな声で返事をした。
「なんですっ、しじんさんっ?」
「お前さん、勇者なんだよな? これから、どーすんだ?」
「決まってるですっ! この、まほうゆうしゃイオが、わるものたちを、やみにほうむりさってやるですよっ、はふーぅっ!」
「いや、そーゆーのは、昨日も聞いたんだがな……」
 だとしたら、そもそも闇雲に動き回らずに、ひとまず拠点を決めてから鍛錬し、ある程度強くなってから旅立つというのが、冒険のセオリーなのではないだろうか。
 今のコイツ――、イオには足りないものが有り過ぎるだろ、年齢とか、レベルとか、常識とか、年齢とか……。
 ん? 今、なにかを二回上げなかったか? まぁ、それはいいとして。
 それに――。
 と、詩人の胸中には、あの言葉が。
 それは、昨晩あの自称・精霊が最後に、詩人に言った頼み事であった。
 しじんは ことばを おもいだした!

『 ――どうか、次の町まで、あのコを連れて行ってくれやぁしませんかね? そこまででいいですから。なぁに、ちゃぁんと報酬は払いやすぜ。じゃ、どうか頼んますぜ、ダンナ。へっへっへ―― 』

 次の町で、オサラバ。それで良いはずだ。そういう約束だ。その先、コイツがどうなろうと自分の知ったことではない。
 だが、理由はともあれ、幼いながらも魔法勇者として自分の使命を全うしようとしている、この少女。
 ということは、やはり、
「イオは、魔王を倒しに行くのか……」
 それとなく詩人は呟いた。対して、自分は……? そういう想いで出た言葉であった。はたして、このままでいいのか……? と。
「おりょ? ちがうですよっ、しじんさん」
 くるるんっと、一回転したのちに振り返り、少女は告げた。
「イオは、まおうなんか、たおしませんっ」
「…………は?」

「だって、ほんとうのまおうは、もういません、ですっ!」

 ……なにを言ってンだ、コイツぁ?
 ワケがわからないよ、という顔をした詩人だった。


 つづく。

※この物語はフィクションです。
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