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砂漠のじごくのハサミ

ノノ

[ノノ]

キャラID
: TQ400-888
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 盗賊
レベル
: 130

ライブカメラ画像

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ノノの冒険日誌

2015-08-05 05:10:50.0 2015-08-12 02:04:49.0テーマ:その他

ゆうはん。(仮)51 邂逅3


  第4章 その16


 少年。
 そう、そこにいたのは、小さな男の子だったのだ。
 ふと、詩人は思い出す。自分が捜していたのもまた、同じく少年。しかし彼がそれとは別人であることは、容姿からして一目瞭然なのだが。それでも詩人はもう一度その少年を見定めた。
 捜していた少年は確か黒髪だったはずだが、彼のはボサボサの銀髪。それよりなにより、
「……俺の捜していたのは、こんな目つきと態度と口の利き方がちょー悪くて貧乏そうなボロ切れまとったガキんちょなんかじゃねぇはずだよな…………ん?」
「ぐぅぬぬぬぬ……ッ!」
 その銀髪の少年が、わなわなと震え、唸り出した!
 しじんさんは おもった!
 ……あ、やべぇ、俺、口にしちゃってた? あちゃ~ぁ、流石に怒らせちゃったかな~ぁ? しょ~がねぇ、一応、謝っとくか――、
「ごめりんこ、てへぺろっ☆」
「ぬがぁーーーッ! 貴様ぁ! どこまでも余を愚弄するかッ!」 
 少年がついに吠えた!
 そして両手を掲げると、
「よいだろうッ、ならばその身をもって、とくと地獄を味わうがいいッ!」
 不気味な威圧感が辺りに漂いだした!
「な……ッ!?」
 詩人は咄嗟に身構える――!
「――喰らえッ! しゃくねつのごうか!」

 しかし!
 MPがたりない!

「え……?」
「……えーっと、……こ、これはだなぁ、つまり、なんというか、こう……その、なんだ……うん」

 きまずい ちんもくが あたりをつつむ!

 が、

 ばちこーんッ!

「ちょっとちょっとぉなにやってんのアンタは~~~ぁッ!」
 なんと!
 ようせいさんが あらわれた!
 ようせいさんの たいあたり!
 かいしんのいちげき!
 しょうねんは ふくぶに きょうれつなダメージ!
「ぐふ……ぅッ!」
 少年はその場に崩れ落ちた。
「貴様ぁ、なにしやがるか……っ!」
「ほらぁもう! しっかりしなさいよねっ!」
「ええええぇ……、なにこれぇ……、デジャヴ……?」
 しじんさんは ようすを みている!
 ついさっき、同じような光景を目の当たりにした気がする詩人だった。もっとも詩人さんの場合は当事者なのだが。
 倒れた少年の頭上で、手のひらサイズの小物体が、ぶんぶんと羽音を立てて舞っている。これは、妖精――、なのだろうか。確かに可愛らしい外見ではある、が。
 そいつは不意に目が合うと、まくしたてた。
「あらヤダ。みっともないとこ、ごめんなさいね~ぇ。このコったら、ちょ~っと人格変わっちゃう設定……、いや、癖……そう、癖なのよ、うん。そういうことにしまショ。変な癖があってね~ぇ、オホホホホ」
 その妖精らしき小物体が、彼を起こそうとボロ布を引っ張っている。
「そりゃぁ、ノーヒントでぇ? 平原を? 三日三晩? さまよっていたからってぇ、疲労困憊なのは分かるけどさーぁ。アンタねぇ、ここ、もう街の中なのよ? やっとたどり着けたんじゃないの、んもぉ、起きなさいよ~ぉまったくぅ」
「次から次へと、なんなんだよ、もう……」
 呆気に取られた詩人は、ただ見守るしかなかった。
 と、詩人の背後に人影が。店の奥から武器屋の娘が近寄って来る。
 彼女が言った。
「では、私は協会に行って参ります」
「このタイミングでッ!? 急じゃねッ? てか、えっ、協会ッ? ……教会でなくて?」
「細けぇこたぁいいんです。あなたはちゃんと店番するように。あとお掃除も」
「えええええ、なんか追加されたしぃ」
「それでは――」
「ちょっ、待っ、……コイツら、どぉすんだよぉッ?」
 詩人は、うずくまる銀髪の少年とそのまわりを飛び交う妖精? らしき物体を、交互に指差す、が。
 娘は出て行ってしまった。
「ちっ、しょーがねぇなぁ、ったくよぉ」
 ぼりぼりと頭を掻きむしる詩人。目の前では、少年がようやく起き上がったところだ。
 と、
「も~、やっと起きたのネ! それじゃぁ、ちゅ~も~くっ!」
 きゅるりら~ん、と光の尾を引いて妖精が二人の間にしゃしゃり出る。
「ここからはぁ、ボクに、お・ま・か・せッ! この街の施設をご案なーい! まずは、こ・こ・はぁ……、武器屋だよ~ッ! きゃは♪」
「すまない、虫取り網をひとつ、頼む……!」
 少年。
「おぅ、これでイイか? こいつぁな、中ボスの魔法もはじき返す業物だぜ!」
 詩人さん。
「ちょいちょいちょいちょーい! なんの話してるのよぉアンタらはぁッ? てか、なんでそんなもんが武器屋にあるんさね~~~ッ!?」
「うざい」
「だまれ」
「あだだだだッ! ちょっやめッ、ふたりしてボクを空きビンなんかに押し込まないでぇッ! 息、出来ないからああああッ!」
 ようせいさんの さけびが こだまする!


 つづく。
※この物語はフィクションです。
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