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砂漠のじごくのハサミ

ノノ

[ノノ]

キャラID
: TQ400-888
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: デスマスター
レベル
: 121

ライブカメラ画像

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ノノの冒険日誌

2016-02-10 03:47:33.0 テーマ:その他

ゆうはん。57 つながる手と手。


  第4章 その22

 スキンヘッドが唾を吐き捨て詩人の顔を汚した。
「俺たちに逆らうなんざ、馬鹿な話だぜ。お前みたいな旅人なんてな、ひとり始末したところで、誰にも分かりゃしねぇんだしよ。どうせ悲しむ奴も居ないんだろ? まぁ、せいぜい間抜けな自分を呪うがいいさ」
 ――ぺらぺらとよく喋る野郎だぜ。
 顔を執拗に踏みにじられていたせいで、詩人の頬はすでに擦り切れていた。
 それでも詩人は目を閉じてジッと耐えていた。
 こんなところでくたばってたまるか。どんなに汚辱に塗れようともあきらめはしない。
「だいたいな、お前みたいな薄汚ぇ野郎なんぞに構っているほど俺らは暇じゃねぇ――な、なんだっ!?」
 不意に轟音が上がり、室内が大きく揺れ始めた!
「うおぉっ、まさか敵襲かっ!?」
 狼狽えるスキンヘッド。にやりと笑う詩人。揺れはまだ続いている。
「くそっ! どういうことだっ?」
 大声を上げながらスキンヘッドは部屋を飛び出して行く。
 残されたままの詩人だが、動揺はなかった。――間違いない、あいつが仕掛けたんだ。
 男たちの怒号があちらこちらで上がっている。むこうにはかなりの人数がいるらしい。
 そこへ、影がひとつ忍び込んで来た。
 素早く詩人のそばへ寄ると、拘束していた縄をナイフで切った。
「やってくれたのか?」
 詩人。
「ええ、やったわ」
 言うまでもなく、武器屋の娘だった。
「ふぃ~。助かったぜ、サンキューな」
 詩人は起き上がると、ようやく自由になった身体を確かめた。全身に激痛が走ったが、どうにか動けそうだ。
「えっらい騒ぎになってるが、お前さん、何やったんだい?」
「別に。燃料室に火を点けただけよ。爆発が始まったわ」
「マジか? すげーな。てか、俺らもヤバくね?」
 ……なんか、あちこちの部屋でドッカンドッカン言ってるし。
「そうね、早く行かないと」
 ふたりは部屋を飛び出し廊下を駆け抜けた。ドアを開け外に出ると、そこは甲板だった。
 目の前は闇が広がっている。真夜中の大海原は暗黒そのものだ。波音は穏やかだが見ていると吸い込まれそうになる。
「やっぱ船ン中だったんだな。しかも、かなりデカい船か」
 詩人は未だ喧騒に包まれる船体を振り返った。
 追っ手はまだ来ていないようだが、ぼんやりしてはいられないだろう。
「ええそうよ。表向きは貨物船だけど。ここが彼らの隠れ蓑になっているのよ」
 ふたりは自然に船首へと近づいていた。
「なるほど。港まで奴らの監視下にあるんだな。となると、気軽に船旅なんか出来ないってことか?」
「たぶんね。それより、悠長にお喋りしている暇はないわよ?」
「ああ、分かってるンだが……その」
 詩人は口ごもった。
「なに?」
「……どうやって、逃げるンだ?」
「決まっているでしょ」
 娘が指す先は闇一色の眼下。
「…………」
 やはり、か。
「どうしたの?」
 娘は不思議そうに首を傾げる。
「俺、泳げねぇ……。どうしよう?」
「ちょっ、アンタね、そんなこと言っている場合なの? 行かなきゃ消されるわよっ!?」
「行っても俺は藻屑と消えるぅぅぅ~ッ!」
「泣かないの! 男の子でしょうが!」
「ぼうけんを あきらめますか?」

 →はい
  いいえ 

「あきらめるなああーぁっ! どんなに汚辱に塗れようとも、あきらめはしないんじゃなかったの?」
「それとこれとは話が別だぁあああ! うわあああん!」
 しじんさんは こんらんしている!
 と、
「守ってくれるんじゃなかったの?」
 詩人を真っ直ぐに見据えて娘が言った。
「――ッ!」
 後方で一際大きな破裂音がした。
 吹き抜ける潮風と混ざり合った異臭が鼻についた。
「覚悟を、決めましょう」
 詩人の手を取る娘。
「ああ、そうだな」
 詩人も強く握り返した。
 ほんの少しだけ、ふたりはそのままで闇を見つめていた。
「い、行くぜ……ッ!」
 詩人は舷に足を掛けた。
 気配。
「……女、やってくれたな」
 首魁の男だ。詩人を散々痛めつけたあの男が迫っていた。
「逃がさん、貴様だけは」
「きゃ――」
 娘が短い悲鳴を放った。
 振り向いた詩人は見た。剣が娘の身体を貫いていた。
「あなたは、行って……」
 押され、詩人は舷から落ちた。
 それは一瞬の出来事。
 詩人は闇の中に呑み込まれていった。



















































 波の音だけがしていた。
 ここがどこだかは分からない。砂浜に転がっていた。
 ぼんやりと空を見ていた。
 星がひとつ消え、またひとつ消えた。夜明けが近いようだ。
 詩人は、煙草が喫いたいと思ったが、そんなものがあるわけはなかった。


 つづく……。
※この物語はフィクションです。
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