2023-11-16 01:41:21.0 2023-11-24 01:47:47.0テーマ:その他
ゆうはん。79「ねぇねぇ、武器派? 防具派?」「そりゃぁ武器一択だろ」「だよね~、攻撃は最大の防御だよ!」「だよな。ああ、脳筋兄妹な俺ら(笑)」【まおぼく】
第5章 その9
「それで、どこへ行くと言うのですか、勇者さま」
それまで黙って後ろについてきた魔術士ちゃんが言った。てか、言いづらくね? まじゅつしちゃんって。
「え、俺が決めていいの?」
「はい、私は勇者さまに従いますので」
「んー、とりあえず、装備が欲しいな。未だに丸腰なんだもん」
もうあんな思いはしたくない。俺、反省。
「それでは商店へ参りましょうか。予算はいくらありますか?」
「じ~~~ん」
「? どうしました勇者さま?」
「いや、なんでもない。ちょっと嬉し泣きしそうなだけだ。てゆーか、まともだ! こっち来てから出会ったヒトの中で、一番まともだーぁ!」
ゆうしゃは もうれつに
かんどう している!
そんなこんなで。
「まぁ、初期装備と言ったところか」
「お似合いです、勇者さま」
俺は安価の剣と盾を購入した。
「ありがとうございます。私なんかの為に」
ついでに魔術士な少女には杖を買ってやった。だってコイツも手ぶらだったんだもん。いくら魔法が使えるって言ってもなぁ。なんか欲しそうにしてたし、杖のコーナーで。
「あの、私はどうでしょう。似合いますでしょうか?」
お?
そーゆーことも言うンだな、このコ。
俺は目の前で得意げにぶんぶんと杖を振りかざす少女に言ってやる。
「ああ、うん。魔力が三くらい上がった! って感じかな」
「えへへ」
笑った。なにコイツ。
――ッ!
あれ、なんだろう、この感覚は。
「? どうしました勇者さま」
「何か目覚めちゃまずい感情に支配されそうになってるな。これって、イケナイコトカイ?」
「さぁ? 私にはよくわかりません」
まぁ、これで最低限の準備が出来たな。
気を取り直して、レッツ・ゴー。
てーれーれー、
てれれーれれ、てれれーれー♪(※フィールドBGM)
とは言え、街を出た俺たちだが、はてさて何処へ行けばいいのやら。もう魔王城直行はゴメンだが。
とりあえず、何か話してみる。
「でも、ゴメンな。俺のせいで、その、キミのお兄さんが……」
まさか俺を庇ってやられてしまうとは。てゆーか、なんで俺だけ復活してお兄さんは蘇らないンだ? また謎がいっこ増えちゃったぞ。大丈夫か?
「いえ――、兄は」
「?」
不意に立ち止まり、俺の向こう、視線は空を仰ぐようにして彼女が続ける。
「兄はすぐそばにいますから。それに会いたいときには、いつでも会えますし」
そんな彼女を前にして、一体俺は何を言えばいいんだろう。
「……その、ホント、なんて言っていいのか。強いなぁキミは……なんか、俺は、ごめん」
「勇者さまが謝ることはありません。勇者さまをお守りするのが私たちの使命ですから」
「また、それかぁ」
今度は俺が天を仰ぎ、
「ホント、使命って何なんだろうな~」
「勇者さまの使命は魔物たちから人々を守り、やがては魔王を倒し、世界に光を取り戻すことです」
ああ、うん。それはもう、なんとなく分かりかけているけど。
でもさ、仲間も守れないのに、世界中の人々を守るとか、そんな調子でホントいいのかな……?
つづく!
※この物語はフィクションです。