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トロける5000年

ワッサンボン

[ワッサンボン]

キャラID
: XG969-178
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: 武闘家
レベル
: 122

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ワッサンボンの冒険日誌

2020-03-15 21:31:15.0 テーマ:その他

甘々の冒険者達『29話・まめたの問い』(DQX二次創作)

DQX及び蒼天のソウラの二次創作。
独自解釈、設定等有りますので注意です。
登場キャラクターも私が妄想して描写しているだけですよ。

◆◆29話 まめたの問い◆◆

「箱舟で乗り合わせた冒険者と意気投合して聞いた話なんだけどな」

 大地の箱舟。
 五つの大陸を海をも超えて結ぶ奇跡の大陸間鉄道を走る列車は、広く人々に利用されている。
 もっとも冒険者のように武装したままこれを利用するにはそれなりの手続きや証明、たとえば大陸間鉄道パスなどを必要とし、なりたての冒険者達が苦労したなどという話がよく聞かれる。

 逆に言えばそれだけ多くの冒険者が、この列車の世話になっているのだ。
 ユルさんと出会った者達もそうしたクエストの途中だったのかもしれない。

「それで彼らは魔法の羅針盤の材料を集めてる途中だった。だからこれが完成すれば、ついにグランドタイタス号は出航できる! その日は近いと見たね」
 なぜなら件の冒険者達は必ずやってくれる。そういう目をしていたとユルさんは太鼓判を押しまくる。

「なかなか重要なクエストを受けたみたいだね。誰のパーティーだったんだい?」
 興味深く聞いていたまめたが問うと、ユルさんはハトが豆鉄砲をくらったように驚愕する。

 常連客も含めて固唾を飲んで見守る中、ユルさんの口がゆっくりと動き出す。

「名前聞くの忘れてた…」

 ズコー!バターン!とあっちこっちで常連客がひっくりかえって、ケラケラと笑い合う。
 オーガの少年とドワーフの少女とそれからそれからと、特徴を並べるユルさんが皆にからかわれる中、まめたは頭の中のネタ帳に、一言書き加える。

 勇者ユルール、新章開始──。

「うん、ほぼ間違いないでしょう」
 一言呟き、スウィ~ト達へと向き直る。

「お二人は幸運のようだ。航路が開く可能性は高そうです」
 ららっ!

「おや、これは失礼。三名でしたね」
 テーブルの上で抗議らしき声をあげたざらめを優しくなでてまめたは言い直す。

「今度は船旅かあ。豪華客船なら、デザートに期待できちゃうかな♪」
 思わず口元をぬぐうスウィ~トに、まめたは少しだけ眩しげな視線を向ける。

「躊躇なく行くことは決まってるんだね? その先にどんなスウィ~トスター☆の冒険があるんだい?」
「あ、ボクのことまで知ってたんだ!? いや、地道な活動が花開いてもおかしくない。まめたの耳に届くのもさもありなん!」
 むふーっと鼻息荒くまんざらでもない顔になるドワ男。

「自ら菓子を作るわけではない。その存在をその舌で確かめ、世に広める君がポルリオン達を追う理由が僕は気になるんだ」
 つぶらなプクリポの瞳に好奇心の強い輝きが煌めく。それこそ冒険者達に負けず劣らずに。

「冒険をしているとわけのわからない縁が飛び込んでくるから、なりゆきなんだよねー」
 複雑な苦笑いを浮かべて、スウィ~トは語る事にした。

 いつもの甘い冒険が変わり始めた日の事を。
 ざらめという新しい相棒を得た喜びを。
 漫然とした危機ではなく、己をめがけて襲い来る死を連れた敵の恐怖を。
 一方的な理由と、共感してしまった感情の狭間の揺らぎを。
 そして、先人たるポルリオンとバーウェンの物語に触れて、リモ達をも巻き込んで馬鹿をやってやろうと思っている事を。

 菓子のレビューの如く、流暢に、派手に、あれこれと動きを添えて語りつくすと店のあちこちから拍手が鳴り響く。

「いいぞ―兄ちゃん! 夢がある!!」
「心躍るねえ! でも死なねえように実力も磨けよぉ」
「隣のオーガちゃんは脱がねえのー!」

 一部酔いつぶれて無茶苦茶を言っているが、前祝だとかなんだとかでスウィ~トは別のテーブルに拉致られていく。
 ひらひらと手を振ってお見送りするアイシスと、それを真似て舌を動かすざらめは、特に彼を助けたりはしない。

「彼の新しい冒険。続きはまた聞かせてもらいたいですね」
「おしゃべり好きだから、きっと…いくらでもする、かな?」
 アイシスが保証すると、まめたは空いたスウィ~トの席に座りその顔を覗き込む。

 ?

「では、あなたの冒険は?」

 !?

 まめたの問いにアイシスの肩がぴくりと震える。
 自分より何倍も小さなプクリポは、変わらぬ瞳をこちらに向けている。

「私…」
 いつからだろう。そんな事を考えなくなっていたのは。
 騒がしく、へっぽこで、甘いものに目がない、食べては語る事が目的のこのドワーフと旅を続けるうちに、なんとなく彼を守っている日々に、彼についていく日々を受け入れていたのは。

 そもそも私は、なぜ今も冒険者なのだろう。

 まめたの瞳の中の自分が、そっと問いかけてきている気がした。
 無意識にざらめを抱き寄せアイシスは、出会いを思い起こしていた。
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