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トロける5000年

ワッサンボン

[ワッサンボン]

キャラID
: XG969-178
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: 武闘家
レベル
: 122

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ワッサンボンの冒険日誌

2020-05-10 22:01:29.0 テーマ:その他

甘々の冒険者達『37話・ダグ語りて』(DQX二次創作)

DQX及び蒼天のソウラの二次創作です。
設定や人物の言動など個人の妄動ですよ~。



◆◆37話 ダグ語りて◆◆


「なるほどなるほど」
 ダグから聞き出した内容は、人数も戦力もほぼ予測通りだ。
 館の外観から見ても、監禁場所が地下である事も嘘ではないだろう。

 だが、一つだけ例外がある。

「魔法使いの類は…一人も見ていないんだ?」
 念を押すラズの言葉に何度も頷き返す。

「ああ、そんな仲間はいない…いや、うん…いないはずなんだが…」
 うーんと唸りダグが言葉に詰まる。
 まとまらずとも口に出すように促すと、自信がないのか一層小さな声で語りだす。

「ボスが、その…虚空に向かって、しゃべりかけてるのを見ちまったことがあって…」
 見間違いだとか気のせいだとか思い直した。
 そうじゃなかったとしても、貰える物が貰えるならいいんだと自分に言い聞かせたのだと。

「それはやっかいね。でも納得いったわ」
 迷いのない瞳と断言に思わずダグは一体何がだと聞かずにはいられない。

「この手の詐欺は短期間にばらまいて儲けたらさっさと逃げるのが鉄則でしょ? でもサマベルにシリアル違いを幾つも偽造させて未だに売りさばいてる。捕まえてくれって言っているようなものよ」
 つまりただの金銭目的ではない“意図”が絡んでいる。
 おそらくは人間以外の…。

「それじゃあ、私行くから魔術が解けたら好きに逃げるといいわ。あ、敵対だけはしない方がいいわよ♪」
 言うが早いか足音もなくラズは館の方へと駆け出していく。

 残されたダグは、それはいつなんだよ!と吐き出しかけた悪態を呑み込むしかないのであった。




 一方、足音を殺して進むのはスウィ~ト達も同じであった。
 短い足を慎重に交差させるドワーフの後ろを、アイシスがじりじりとついていく。

 とはいえこちらは怪盗団の臨時アルバイト、初心者には難しい。
 角を曲がったところで、ばったりと目つきの鋭い香水よりも煙草の匂いが先に来るようなメイドに遭遇する。

「お、お客さっ…!?」
 取り繕いと身に染みついた攻撃衝動が混ざり合ったのか、言葉とは裏腹にナイフを引き抜こうとしたメイドだが、先ほどと同じくざらめに口を封じられ、二人がかかりで、すぴすぴと夢の中へご案内される。

「これ、綱渡り…」
「確かに心臓に悪いっわっと!?」

 同意しようとしたスウィ~トが慌てて口元を抑える。
 何事かと首をひねるアイシスに、スウィ~トはちょっと待ってとジェスチャーだ。

(ハロハロー。こちらラズ。聞こえてるなら顔の前で丸を作ってね)
 ドワーフの大きな耳の中に、直接声が響くような感覚にとりあえず、指示通り指で丸を示す。

(いざという時のための眼帯は正常に稼働中だね。それ、こっちからは声が送れて、映像が受け取れる魔法の品だったの♪)
 先に言ってよ!と心の中でツッコみつつも、ラズがあっさり別行動を選んだ理由が判明してほっとする。

(サマベルのばあちゃんはやっぱり地下。お台所の床に戸があるはず。見張りも一人はいるはずよ。残念ながら乗船パスの本物は今はボスが自室で管理中。こっちはまず私が当たってみるわ。かわりに)
 みなまで言わなくてもサマベルの事は任せろと、スウィ~トは眼前で親指を立てる。

(ふふ、新人怪盗達の活躍、期待してるわ)
 ラズは通信の終わりを告げると、眼前の壁に氷針呪文ヒャドを撃ち込んでいく。

 ほんの数歩助走をつけると、さすがの身軽さで鉄杭の如く突き立った氷柱を掴み、蹴り、瞬く間に三階のバルコニーへと辿り着く。
 そっと手を触れ窓に錠がしてる事を確かめると、精神を集中して魔術を構成する。

 アバカム──。

 盗賊やスパイなら垂涎の希少な開錠呪文を難なく組み上げて、ラズはするりと室内へ身を滑らせる。
 人の気配は感じられない。

 瞬時に間取りを把握して設えられた金庫に歩み寄る。
 一呼吸の間その視界を魔法構築の世界へと集中させ、魔法や呪いの類がない事を確認するとありふれた金庫はわずかな道具とラズの手指の動きにあっさり屈して扉を開く。

「これでパスは確保。あとは合流して…っ」

 小さな笑みを浮かべようとした瞬間、室内の空気が震えてラズの直上、プラズマがバチバチっと音を立てる。

 同時に怪盗魔術師は呪文を構築する。
 必要手順と要素を最小限に絞り込んで、即席の呪文を口ずさむ。

「マホカンタン!」

 間一髪で降り注ぐ一条の電撃が極小の魔法反射障壁に遮られ、豪華な絨毯に直撃して焦げた匂いが立ち上る。
 その一条の煙の向こうに、樽のような体系の男が一人佇んでいた。

「レンダーシアを目指す者に…永劫の不幸と呪いを…」
 うつろな目で呟くその姿からは、正気と呼べるものは何一つ見つからない……。
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