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トロける5000年

ワッサンボン

[ワッサンボン]

キャラID
: XG969-178
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: 武闘家
レベル
: 122

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ワッサンボンの冒険日誌

2020-09-20 17:37:39.0 テーマ:その他

甘々の冒険者達『55話・レンダーシア上陸』(DQX二次創作)

DQX及び蒼天のソウラの二次創作。
独自解釈など有りますので公式との齟齬もあります。
大丈夫な方は読んでみてね!


◆◆55話 レンダーシア上陸◆◆

 あれからさらに数日。
 グランドタイタス号はついにレンダーシアを覆う迷いの霧を突破していた。

「しかしマグロスイーツの怪談かぁ。いつの間にかそんな呼び名がついてたんだねぇ」
 勝手にクエストに加わっていた自分達にも謝礼を用意してくれた副船長のダドリー。
 彼から聞かされた船内での評判にスウィ~トは感慨深げだ。

「知らない間に…有名になってた」
 持参の調理器具を片付けるアイシスの表情もどこかくすぐったそうだ。

 グランドタイタス号の奇妙な幽霊。サンザキは未練を手放して天へ昇った。
 スウィ~ト達はほぼ幽霊と共にいたため実感がなかったが、ユルールやヨナ、アマセやイズナが大活躍していくうちに、すっかりグランドタイタス号内でこの出来事は広がっていたのだ。

 結果、有名なユルール達と共にクエストを行い、最後にすこしばかり格好をつける形となったスウィ~トスター☆の名も、これまで以上に冒険者達の間で知られるようになった。
 もちろん調理を嗜む者たちの間ではアイシスも同様にその腕をより認知されている。

「やー、名声が広がるってのはきもちいーねー♪」
 にやにやへらへらしてるドワ男に、アイシスは苦笑いする。

「驚いて転んで骨折したのがスタート、情報公開するべし?」
「それはもう忘れましょうよアイシスさんっ!」

 気心の知れた仲間同士のやり取りが小さな笑いを生むと、二人の間でざらめがくるくると楽し気に踊るのだった。


 一方……。

「まったく。この私を、勝手にマグロスイーツの担い手に指定するなんて、図々しいっ」
「もー、まだ言ってるのリモリモ」
 荷物を詰めるには少々荒々しい手つきのリモニーザの言葉に、イズナは呆れ顔だ。

「どのみち今回の経験もレシピも綺麗さっぱりぽーいっなんて出来ないでしょー?」
 リモニーザがパティシエとして上を目指し続ける限り、そんな事が不可能なのは誰の目にも明らかだった。

「それを見こされている気がして、余計に腹立たしいのですっ」
「あ…そこは認めちゃうんだぁ。まあ今回はリモリモ向こうのペースに巻き込まれてたもんねぇ」
 んふふと楽しそうに笑うイズナにリモニーザはジト目を向ける。

「なぜか約一名の魔族様も向こう側に立って面白がってましたからねっ!」
「怒っちゃやだー。ユルール側の人となりも知れたし、退屈もしなかったし、新しい事にも挑戦できたしぃ~。総合的には有益だったでしょぅ?」

 わーっと飛びついて抱き着くイズナの猫なで声。
 子供っぽくもあり、どこか計算が張り巡らされたような恐ろしさもあるその仕草に、彼女の本質が垣間見える。

「まったくっ。そろそろ下船許可がでるのではとのお話です。ちゃんと荷造りしなさいな」
「わかってますよーぅ」
 むしろ上陸してからどうするかが問題なのよねぇ。
 調子のよい返事をしながらイズナはむむぅと悩む。

 とそこへ船内放送が鳴り響く。
 レンダーシアに到着したこと。
 グランゼドーラ王国には辿り着けていないこと。
 上陸を優先し、希望者をココラタ村の浜辺に輸送すること。

「大魔王様の作品作りが進んでいる影響なのでしょうね」
 その事実に多少気分が晴れたのか、リモニーザの声は弾みを取り戻すのだった。



「あ、ユルール達が先に乗ってる! がんばれよー!!」
 クルーたちが順に小舟で乗客を送り届けるための列に並んでいたスウィ~トが、海面の小舟の一隻に大きく超でかチョコスティック(実は鎌)を振って声を張り上げている。

「ありがとー!」
 元気よく手を振り返して笑顔を見せるユルールに倣ってアマセ達も思い思いに手を振って応える。
「色々と珍妙な縁だったけど…楽しいやつらだったよな」
 クエストを思い起こしてにやりと笑うアマセに、ヨナも深く頷く。

「食事を共にしたり、お互いの冒険を聞いたり……シアは鎌の手ほどきも少ししてあげたんだっけ?」
「いえ、それほど大層な事は。基礎的な事を少しだけ」
「それでも新しい武器についての知識と経験は喜んでもらえたと思うよ」

 謙遜するディオニシアにユルールが笑いかけて、彼女の頬にわずかに朱がさす。
 それをごまかす様にもう一度スウィ~ト達に視線を凝らすと、たしかにありがとうと口を動かしているように見えた。

 お互いの旅が無事でありますように……。
 シアは瞳を閉じてそっと願う。

 こうしてグランドタイタス号に乗り合わせた三組は、レンダーシアの地に足を踏み入れたのだった。
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