サジェ
「トウカさん、次は水しぶき舞う海の精……水の神獣カシャルの写真を撮って来てくれませんか?」
トウカ
「ああ~、あの子ね。知ってる! これは楽勝だわ」
サジェ
「オーフィーヌの海の北に見える水面に突き出た塔の方向にいるそうです」
トウカ
「うんうん。確かにいたね」
リルチュラ
「トウカさん、がんばって!」
トウカ
「よし行ってくる」
フィナ
「トウカさん? 何かあったのですか?」
トウカ
「いや、気にしないで」
パシャ! パシャ!
トウカ
「あれれ~? 更新しないぞ? おかしいなあ」
パシャ! パシャ! 下の角度からもパシャ!
フィナ
「ど、どうして私をカメラで執拗に激写しているのですか?」
トウカ
「君の写真を撮ってきてと頼まれたんだよ~。
それにしても、写真が反応しない!
ねえ、ちょっと脱いでみてよ?」
フィナ
「えええ!?」
トウカ
「いや、脱ぐじゃなくて変身か! あのイルカ的なモードに変身してみてよ!」
フィナ
「ここで私が変身したら、水の民が大騒ぎになってしまいますよー!」
トウカ
「ああ、もう! 使えない子。どうなってるんだよこれえ!」
フィナ
「事情がよく分かりませんが、ごめんなさい……」
トウカ
「なんか駄目だった……」
リルチュラ
「ええ~? どうしよう、サジェくん?」
サジェ
「トウカさん、どうして綺麗な女の人の写真ばかり撮ってきたんですか?」
トウカ
「いやあ、それが話せば長いが、その子がそうなんだよ」
サジェ
「神獣って、そんな能力まであるんですか!? すごい発見だ!
でも、この写真で反応しないということは、被写体だけではなく、撮影する場所も重要なんじゃないでしょうか?」
トウカ
「お、さすがサジェ。場所が違っていたという可能性があるか」
サジェ
「塔の方向という文字がミスリードだったんじゃないでしょうか?
その点を踏まえて、もう一つのヒントを導き出すと、『水面に突き出た塔』だと思います。
『水面に突き出た塔』が見える場所を探してみたらどうでしょうか?」
トウカ
「おお、分かった! 今度は陸上から当たってみるよ」
リルチュラ
「トウカさん、ファイトー!」
トウカ
「うわ、いたよ……。
ナチュラルにいたよ……。
おい、フィナよ」
フィナ
「プハー! プハー!」
トウカ
「な、なにやってるのかなキミ?」
フィナ
「あ! トウカさん。変なところを見られちゃいましたね。
実は空気を集めてるんです」
トウカ
「空気って、神秘のサンゴが与えてくれるもんじゃなかったの?」
フィナ
「実は神秘のサンゴのほかに、私自身も水中に空気を送っていたんです。
サンゴはデリケートですから、サンゴばかり負担をかけるわけにはいかないのです。
大変ですが、水の民を守る大切な仕事です。それでは失礼します。
プハー! プハー!」
トウカ
「文句の一つも言いたかったけど言えなかった。不憫な子や……」