モーターバイクを手に入れて始めた旅だったが、新たな大地、エルトナ大陸へとたどり着いた。
たどり着いたは良いんだが・・・夜じゃねぇか!
このイナミノ街道ってところは近くに湿原があるらしく、そのせいか夜になると霧が出てなんだか薄気味悪い。
所々に立ってる提灯と、このモーターバイクのライトの灯りが頼りなのは少々心細い。
こんな時に茂みから魔物が飛び出してきたらたまったもんじゃないな。

モーターバイクを暫く走らせてると遠くの方に灯りが見えた。
地図によるとどうやら山間の関所のようだ。
よし、今晩はあそこの宿屋で泊まろう。
灯りの少ない中、水辺に架かる橋を気をつけて進む。ウェディといえど流石にこんな所で泳ぎたくはない。なんとか橋を渡りきり、山間の関所にたどり着けたことに安堵する。
これで今夜は安心して眠れそうだ。

宿屋に泊まれたおかげで疲れもすっかり取れたようだ。
朝一番に起きた俺は、身支度を整える。
せっかくエルトナ大陸に来たんだし、カミハルムイの桜を見ておかないとな。
きっと朝の桜はさぞ綺麗だろう。
俺は再びモーターバイクを走らせた。
関所の門を通り抜け、カミハルムイ領南へ入ると、美しい木々が俺を迎えてくれた。

桜の木の近くまで寄ると、モーターバイクを降りて木の側まで歩いた。
まるで雪のように白く、だが微かに色づいているその花びらが、春風に乗って静かに舞い散る。
美しい。
木にもたれかかり、暫くの間その光景を眺めていた。ふと1枚の大きな花びらがひらひらと俺の手元に降りてくる。
俺はその花びらを手で優しく受け止めた。
桜の木からここへ来た俺への贈り物のように感じた。素敵な物をありがとう。
贈り物を大事にしまうと、俺は木に一礼し、モーターバイクを走らせる。
次はどこへ行こうか。
春の暖かみを感じながら、その場を後にした。