ミトコウモンの冒険日誌

「逆光の君」




逆光の君　眩しさに包まれて
そのまま　溶けてしまいそう

窓を開いて　入り込んだ風が
その長い　髪と遊んでいる

あやふやな現実　不確かな事実
曖昧な心　でも

確かな胸の　高鳴りを
感じている

だけど

「もう帰るね」と　言われた時
千切れそうな程　悲しくなった

何処へ帰るの？　君の帰る場所は　
此処には無いの？

「もう帰るね」と　言われた時
もう二度と　会えない気がした

玄関から遠ざかる　靴音
すっと消えてった　泡沫の昼下がり

流れる雲のまにまに　たくさんの想い出が浮かぶ
一つ一つが宝物　僕の全てさ

だけど

「もう帰るね」と　言われた時
あれが本当は　最後だと知っていた

何処へでも行きなよ　君の帰る場所は
此処じゃないと　只認めたくなかっただけさ

「もう帰るね」と　言われた時
もう二度と　会えないと分かっていても

何処へ帰ろう　僕が帰る場所は
君の温もりだけだったのに

何処へ帰ればいい？
僕は何処へ帰ればいい？

逆光の君　眩しさに包まれて
そのまま　光に溶けてった

逆光の君　眩しさに抱かれて
そのまま　光に消えてった

二人の想い出から
遠ざかる君の足音

すっと消えてった　泡沫の夕暮れに