◇DQ10の立ち位置の特殊性
MMOのストーリー完結ということで、2015年頃のFF11を連想した人は多いだろう。この年、FF11はサービス規模の終了と大型メジャーバージョンアップの終了が告知され、当然だが当時のプレイヤーは大騒ぎになった。同時にストーリーも「ヴァナ・ディールの星唄」で完結し、FF11のVUは以降小規模なものにとどまっている。DQ10もこのルートに入るのではないか、という声もX上で多く見られた。
だが、私はDQ10が明確な「FF11ルート」に入る可能性は低く、独自の展開を見せるとみている。主な理由は3つ。「代替の不在」「収益水準」「技術負債の少なさ」である。
まず「代替の不在」。FF11が縮小段階に入った時点で、既に新生FF14は出て数年経ち、MMOとして見た場合の代替が出来つつある状況だった。厳密にはFF11とFF14は設計思想が全く異なるので棲み分けをしつつ現代まで続いているが、開発コストの分配という点では既に雌雄を決していた。ところが、DQ10は「ドラクエのオンラインゲーム」という意味では(ソシャゲを除けば)唯一無二の存在であり続けている。更に言えば、本命のオンラインドラクエすら最新作の11から9年が経過しており、ドラクエファンはHD-2Dのロト3部作や7Reimaginedといった過去作のリメイクで食いつなぐしかないのが現状だ。DQ10はそんな状況で唯一「本家ナンバリングの新作が遊べる」ファン層の最後の砦のような存在であり、ブランド価値を保全するという意味でも展開を縮小するインセンティブは薄い。
次に「収益水準」。前章でアクティブユーザーが十分な数存在することは触れたが、DQ10は収益という観点において、FF11と比較して決定的な違いが存在する。そう、課金アイテムの存在である。DQ10はサービスのごく初期からおしゃれ装備やドルボード、おめかし衣装、追加しぐさ等の追加課金装備を売るマーケティング手法が月額課金と併用されてきた。また、Ver.5以降は成長要素課金や時短課金も開放し、更におでかけ便利ツールのジェム課金まで存在する。これはほぼ月額課金1本で運営費を賄っていたFF11と比較すると非常に強力な収益源であり、DQ10がサービス開始14年にわたって殆ど規模の変わらないアップデートを実施し続けられた主要な理由でもある。
そして「技術負債の少なさ」。PS2のサービスを14年続けたFF11と異なり、DQ10は時代遅れのハードを段階的に足切りする方針を取っている。2017年にWii、2024年にWii Uと3DSを切っており、最低ラインがNintendo Switchとなっている。もちろん開発エンジンは2000年代の設計当時のままだし、Windows版はもはや化石であるDirectX9が使われ続けている。しかし、FF11からDQ10までの10年でMMO運営ノウハウが蓄積されたと見るべきで、長期運営を視野に入れたゲームが技術的に行き詰まるというのは、現段階では少し考えにくい。これはFF11がPS2という内部アーキテクチャがあまりにも特殊なゲームハードで発売されたこと、Wiiは抽象化レイヤーやオーバーヘッドを許容してMMOを動かせる最低限のマシンパワーがあったことなど様々な要因が存在する。
このように、DQ10は一見FF11のような顛末を辿るように思えるが、今後の展開は全くの別物になる可能性が高い。
◇焦点は「バージョン9」はあるのか?
今回の生放送で挙がった不安要素は、ズバリ「バージョン9以降の拡張パッケージは存在するのか?」ということである。こればかりは全く言及が無いので今後の情報に期待するしかない。より具体的には、新エリアの追加が滞るのではないか、販促力が減退するのではないか…などなど。細やかなエリア追加だけなら拡張を出す必要はないし、コンテンツやサブストーリーのために新しく拡張パッケージを出すのか?というとそれも微妙な気はする。FF11は「アドゥリンの魔境」が実質的な最終拡張になったが、DQ10はバージョン8がその立ち位置になってしまうのだろうか…という憂慮は私としてもぬぐい切れないのであった。
◇おわりに
長期のサービスと長年のコンテンツ累積によって、DQ10はこれまで通りのストーリー供給を続けることが難しくなった。しかし、それはサービス終了とは似て非なるもの…というか、長期サービスを展開するにあたって必要な方針転換であったことと結論付ける。これは言い聞かせるための方便でも何でもなく、2028年以降のDQ10の生き抜く道となっていくだろう。ただ、それでも自分も少し、メインディッシュとなるストーリー展開が終了するのは、どうしても少し物寂しい。