※Ver3完全クリア後のお話です。未プレイの方はご注意下さい。
来ない客を思うのはしんどいけど時々は良い事もあります。
ここ最近塞ぎ気味だったお得意様。
この間「ここに置きたい」なんて言って変な鉢植えを置きに来て。
これ、変だけど大事なものなんじゃないのか、
もしかしたらこのまま帰ってこないんじゃないか、なんて縁起でもないこと考えたりしたけど。
久しぶりに来たと思ったら、そういう僕の気も知らずに、憑き物がさっぱり取れたみたいな顔をして
「今日からは、村長さんと呼ぶように」とか何とか。
まあ、いつも通り意味は分からないんだけど
とりあえず悩みは解決したんですね、って言ったら僕が一丁前に心配してたのが気に入らなかったみたいで棍で突っつかれました。
いつも通りスパイスカレーで腹を満たした帰り際。
“ねぇ、シェフ
帰る場所がなくなっても、また作れば良いね。”
何だ、そんな事。
僕からすれば今更すぎて、思わず笑ってしまった。
僕には、もともと居場所なんてなかった。
それを一から作る手助けをしてくれたのは貴女ですよ。
「ニコちゃんは持ってくけど、ご飯屋としてはこれからも来るから寂しがらないでね」
「当たり前でしょ。家だと思われちゃたまりませんよ」
そう軽口なんか叩きながら内心ほっとして見送りました。
例えばそういう事があるから、店を閉めずにやってこれてるんです。
[To be continued]