終末世界で理想のボーイミーツガールが始まった件について。
滅びかけの世界で自慢の父を喪い周囲の人々にそんな父を大ホラ吹きと謗られ自分が父の正しさを証明するのだと周囲を拒絶する少年の元に現れた未来から来たとのたまう謎の美少女、最初はぞんざいに扱うも彼女の献身に徐々に頑なであった心を溶かしていき、いつしか相棒のような関係となり二人で世界を救いに行く……理想的なボーイミーツガール……!!!
主人公の方がほんの少し身長低くて、自分より小さな女の子だけど自分よりずっと強くてずっと助けられてて、そんな友達のために嫌いな奴に頭を下げて最後の最後、彼女を助けに行くんだよ……。
ずっと友達だって言ったしずっと友達だと思ってるけど、大人になった時ふと彼女のことを思い出してもし同じ時代に生まれた人間だったなら、もしもっと平和な世界で平和に出会ってもっと一緒にいられたなら、もしかするとなにか特別な感情が生まれていたのかもしれないって思うんだ……。でももしそうなら自分達はきっと出会うことすらなく、彼女が自分を助けることもなく、これほどまでに大切な人にはならなかっただろうとも思うんだ……。だから子孫にはただ友人と、かけがえのない相棒だったのだと伝えるに留めるんだ……(強幻覚)
別に恋人じゃなくてもよくて世界を共に破邪船で巡る相棒とか、定期的に会いにくる親友とか、とにかく何らかの繋がりがあったらよかったのになっていう少年期の大切なさみしい思い出。でももう会えないから、主人公には別に帰るところがあるからせめて大切な友人のことを500年語り継ぐんだ……エモ……
(ここまでプレイ当時原文ママ)
エルジュにとって主人公がかけがえのない存在であることはそうだけど、主人公にとってもまた、エルジュは特別な存在だった。何故なら主人公はこれまで独りで戦ってきたから。
RPGの主人公とはそういうものかもしれない。けれどこのゲームはオープンワールドでフレンドと共闘できる都合上、お助けキャラ的なNPCが加入することすらなかった。ヒューザとか王子とか、戦えそうな奴らですら『俺はこいつを守るからよろしく!』。こっちが火力足りねええええええ僧侶で来るんじゃなかったアアアアこちとら初期仲間だぞ酒場の仕組みわかんねえええええとなっていようが関係ない。だって守るべき相手がいるから。
けれど、エルジュは。戦う力を持たない少年は、それでも、主人公を送り出した後、少しでも自分にできることを探してくれた。
私はポケモンユーザーなので、ずっと、ポケモンばっかりやってきて。どんなに苦境に立たされようと、主人公の傍らには6体の仲間が常に寄り添っていてくれた。仲間であり、相棒であり、家族である彼らがいた。でも、ドラクエでは、一人で歩むのだと思っていた。そういうものだと納得していた。レイダメテスから落ちる中で、ああああ助けてええええ!?!?!?と思いながら、ドルボード使うのかとか考えていた。そこに誰かが来てくれるなんて思ってなかった。
だってエルジュは戦えない。戦場に来るはずがない。それは彼の仕事じゃないと思ってたのに。圧倒的に救う側である『主人公』を初めて救けてくれたのが、彼だった。
それがどれほどのことだったか。
少なくとも、うちの主人公は最小サイズ女で、妹で、どう見積もっても12歳そこそこで。そんな子供が故郷も家族も喪って、突然全く知らない他種族の大人の姿になって、戸惑いながら、傷つきながら、ひた走ってきて。誰もに頼られ、しかし誰にも頼れず、導き手たる賢者はいても、彼らは往く道を示すだけで、共に走ってはくれなくて。大きな恐怖と小さな諦めをその身に抱えて、その果てで。
死を覚悟した時、現れた救い。それがエルジュだった。
これから先、バージョン7まで続くドラクエ10で、主人公は幾度となく世界の危機に立ち向かうこととなるのだろう。何百、何千という人を救うことになるのだろう。でも、その原点。五百年の時を超えた遠い過去に、小さな女の子を救うために頭を下げた、ちっぽけな少年の勇気とプライドがあったことを、主人公だけは知っている。その友だちのことを、主人公だけはずっと覚えている。
エルジュ、好きです。最推し。ずっと、いつまでだって。友達。救けてくれてありがとな。