王都カミハルムイの高名な剣術道場に入門を許されたのは先月の事だった。
里にいた頃、エルフの村に生まれたのにも関わらず魔法学よりも剣術にばかり明け暮れる僕はいつも皆から少し距離を置かれていた。
しかし、その嘲るような視線に僕は全く興味がなく、枝を削った木刀を振り、森の獣や小さな魔物と取っ組み合う日々を過ごしていた。
そんな僕にある日、村の長老から呼び出しがかかった。勉学に励めとお叱りでもくらうのかと思いながら長老の家を訪れると、意外な言葉が待ち受けていた。
「独学の剣術では身を守るのも心許ない。きちんと学びなさい。」
達筆な字で書かれた紹介状を渡されると同時に行き先を聞いてさらに驚いた。そこは、外界から忘れられたようなこの村にいても聞こえてくるほど有名な道場の名前だった。
カミハルムイの街へ向かう途中に出会った幻のような女性がその道場の御息女であったことがわかったとき、驚いたのもあったが僕は少しばかり嬉しくなった。あの不思議な女性は確かに実在し、しかもまた会うことができるのだ。