その後、御嬢様には一度、酒場で再会したことがあった。なにやらうさん臭く、しかしとても気さくな仲間との冒険を心から楽しんでいるようだった。
残念ながらその場でお手合わせは願えなかったが、話をする中で御嬢様の剣術がさらに磨かれていることはわかった。
僕の気持ちはそこで固まった。
御嬢様とその仲間たちは酒場の酒を全て飲み干すまで帰らないと言っていたが、当時まだ修行中の身であった僕は、御嬢様との剣術談義が名残惜しかったものの、深酔いする前に帰ることにした。
「死ぬ前にもう一度お会いできるでしょうか。」
「ははっ、その時には殺し合いでもしてあげようか。」
「精進します。」
最初の試験から五年が過ぎていた。ようやく道場から皆伝をもらった僕は里に帰り、村を出る決意を長老に伝えた。
「僕は、冒険者になりたい。世界を、この目で見て廻りたいんです。」
僕の言葉に村長は目を細めてほほ笑んだ。
「そう言うと思っていたよ。お前は御先祖様の血を色濃く受け継いでいるようだ。」
「ご先祖様ですか。」この隠れ里をつくったというご先祖様のことだろうか。