第5話:爆発する聖光と覚醒の咆哮
「繋ぐ……僕が……僕のこの手で……みんなを絶対に死なせない!!」
りょうすけは立ち上がった。足の震えは止まらない。恐怖で胸が押し潰されそうだ。しかし、彼の瞳から「逃避の色」は完全に消え失せていた。
自分は特別な英雄でもなければ、無敵の強者でもない。一瞬で散るはずだった、不器用でみすぼらしい社畜の転生者だ。
だが――自分を「相棒」と呼び、背中を預けて命を懸けてくれた男が、仲間たちが、今ここにいる!
りょうすけは血と汗に塗れた両手を高く天へ掲げた。前世の歪んだ記憶も、この世界で味わった理不尽な絶望も、すべてを己の魔力の種火として燃やし尽くす。レオンライトに叩き込まれた呪文の理、回復の精緻な構成、命の波長を合わせる感覚。それらが脳内で途方もない速度で噛み合っていく。
「生命の源たる聖なる理よ……理不尽に散る命を拒み、不屈の意志に光を与えよ……!!」
喉の奥から血が溢れる。肺が焼き切れるような苦痛の中、りょうすけの魂の底から膨大な聖なる光が溢れ出した。
「『ベホマラー』――――ッ!!」
極夜の凍土を真っ白に塗り替える、圧倒的な聖光の波動。
広域最上位回復呪文の光が、洞窟内全体へと激しく拡散した。
光が触れた瞬間、グミの焼けただれた皮膚が急速に再生し、折れた骨がメリメリと音を立てて接合していく。マンティスの背中の大やけどが癒え、衰弱していたクロエとプクルの生命力が狂おしいほどの熱量となって充填されていく。
それだけではない。りょうすけが放った純粋すぎる聖なる光の波動は、異界の怨念を纏うドラゴンの「黒血の衣」を激しく焼き焦がした。
「ギァアアアアアアアッ!?」
ドラゴンが激痛に身を悶えさせる。暗黒の魔力が浄化され、その漆黒の鱗がボロボロと崩れ落ちていく。 「見事だ、りょうすけ……!!」
傷を完全に癒やされたレオンライトが、圧倒的な気迫とともに立ち上がった。その手に握られた木製の大杖が、限界を超えるほどの炎の魔力を吸い上げ、激しく発光する。
「お前の繋いだその命、無駄にはせん! 全員、一斉に牙を剥けッ!!」
りょうすけの覚醒させた聖光は、絶望の淵にいたパーティ全員の魂に、逆転の爆炎を点けたのだった。