むかしむかし、あるところにぷるぷるした青いスライムがおりました。
そのスライムは人を見るたびにこう言います。
「ぼく、悪いスライムじゃないよ」
村人たちは少し安心しました。
悪いスライムじゃないからです。
でも、
ある時、畑のキャベツがなくなりました
「ぼく、悪いスライムじゃないよ」
翌日、井戸の水がぬるぬるになりました
「ぼく、悪いスライムじゃないよ」
またその翌日、村長のペットがいなくなりました。
「ぼく、悪いスライムじゃないよ」
ついに勇者が呼ばれました
勇者はスライムに言いました。
「村をめちゃめちゃにしたのはおまえか?」
スライムは言いました。
「ぼく、悪いスライムじゃないよ」
勇者は困りました。犯人に見えるそのスライムが悪いスライムじゃないと言い張るからです。
しばらくするとスライムは言いました。
「おなかがすいていただけだよ」
村人たちは顔を見合わせました。
キャベツも水も村長の飼っていた豚も、スライムにとってはただの食事だったのです。
しかし、勇者が剣を抜きました。
「村をめちゃめちゃにした魔物め」
スライムは少し困った顔で言いました。
「ぼく、悪いスライムじゃないよ」
勇者は答えませんでした。
やがて…村にファンファーレの音がなりました。
軽やかで小気味のいい音でした。
村人たちは水や畑を元通りにしてくれた勇者に感謝しゴールドをくれました。
その夜、勇者は焚き火の前でつぶやきました。
「俺は悪い勇者じゃないよな…」
遠くの草むらで青い影が揺れていました
「あと20Pか」
そう呟くと、勇者は静かに立ち上がりました。