僕は日差しを眺めていた。太陽の光が僕を祝福するように溢れんばかりに身体に染み渡る。
「兄ちゃーん!」
後ろから幼い声が甲高く聞こえた。その声に釣られて後ろを振り変えると亀様に乗っている弟レオードとアバ様が乗っていた。レオードは僕に手を振った。
「ほらいいでしょ!?アバ様が乗っていいって言ってくれたんだ!」
「そうか。よかったな。」
そう言いながら僕は笑顔を向けてこっちも嬉しくなった。
「うん!」
レオードは後ろのアバ様に振り返って「ねっアバさま?」と笑顔で言葉を送る。
「ああ。今日は特別じゃ。村の守り神カメ様のお背中に乗せていただく日が来ようとは。長生きはするもんじゃのう。さあ、行くぞレオード。他の者達も乗せてやらねば。」
「はい!アバ様!」
レオードは嬉しそうに手を差し伸べた。
「さあ兄ちゃんも乗って乗って!ほらおいらの手に捕まって」
僕は「あぁ。わかった。」と言ようとしたが、アバ様は眉を険しくして怒る表情で「ダメじゃ!!」と叫ぶ。
「え?」
「ククリョーマは乗せられん。」
「ど、どうして?」
レオードは動揺してるのか手を差し伸べたまま身体も言葉も硬直するようにアバ様に疑問を浮かぶ。すると、アバ様は目を一瞬瞑り、開ける。
「それはな・・・」
「レオードーー!!」
叫びが轟く。僕はそれに眠りが崩れ始めた。さっきのは夢なのかが分からない。けど、この夢は初めてだった。何処か日常的では無く、大事な出来事のような夢。その夢が叫びによって崩れてしまった。あの夢は一体何なんだ・・・。これ以上考えると埒があかなかった。
「やっぱりダメだったじゃないか!どうしてくれるんだい!」
「あはは。ごめんなさい~!!」
「今年最後のハツラツ豆がぁ・・・まったく!レオードは逃げ足だけは速いんだから。」
僕は起き上がり、「何やってんだか・・・」と頭の中で呆れていた。レオードがいる所に行こうと、家に出ようとする。だが、玄関に出ようとすると、おばさんがやってくる。
「ククリョーマ!レオードがね!錬金術でハツラツ豆を10倍増やすって言ったのに失敗して全部灰にしちゃったんだよ!」
「あいつ・・・はぁ。」
夢のレオードは楽しそうとは裏腹に無茶をする現実と夢の差を思い知らすようにため息をする。
「今年最後のハツラツ豆はアバ様がとーっても楽しみにしてらっしゃったのに酷いだろ?あんたの弟の失敗なんだから代わりにアバ様に謝ってきておくれ。」
「まじかよ・・・。」
「レオードをほったらかしにした連帯責任だからね。じゃあ頼んだよ!」
「わかりました・・・。」
僕は外に出る。やはり朝なのか色んな人に挨拶をされる。
「おはよう。」
「おはよう!ククリョーマ!弟が余計なことしてるな!」
「まぁな。」
「ククリョーマ!おはよう!」
「おはよう。」
特におばさんや爺さんによく挨拶される。やはり小さい村なので皆が家族のような扱いだった。子供が僕に寄ってくる。
「おはよう!お兄ちゃん!」
「よっ!おはよう!どうした?」
「一緒に遊ぼうよ!」
「えぇ?ちょっと今はアバ様の所に行こうと忙しいんだよな。」
「そうなんだ!またね!」
そして、女の子が挨拶をする。
「おはよう。ククリョーマ!レオード君がなんか変なことしてるね!」
「あぁ。おはよう。あいつ面白いことするよな。」
「うふふ。でもハツラツ豆の件は笑えないよ~?」
「まぁ、俺が寝ていてあいつがとんでもないことしたからケジメはつけないとな。」
「ふふ。ほんと、弟思いなんだから。」
「それほどでもないよ。」
「またまた。謙遜してるのズルいよ?」
「そうか?」
「そう言う所よ。じゃあ私は用事あるから、またね。」
「あぁ、また。」
そしてまた、挨拶の渦に飲み込まれる。まったく、小さい村なのか窮屈も少し出てくると感じる。すると、男の子が俺に現れる。
「よぉ。ククリョーマ。」
「あぁ、おはよう。」
「お前の弟、ほんとバカだよな。」
「おい。その言い草は無いだろ?」
「別にただ言っただけだし、まぁせいぜい兄弟ごっこするんだな。」
その言葉に引っかかる。俺は確かに、レオードをほったらかしにして眠りコケたし、不甲斐ないと思ってる。ただそれは言い過ぎじゃないか。と思えてしまう。「ごっこ・・・?お前は悪口ごっこじゃねぇか」
その男は眉間に皺を寄せつつ、嫌な顔を露見する。
「・・・ふん!だから気に食わねぇんだよ。お前は・・・。まぁ、精々頑張れよ。」
「・・・・」
そう言われてそそくさとその男から距離を置いたのだった。頭の中で「悪口一詭弁会に出て喜ばない優勝でもしてろ。」とその脳内が渦を発していたのだった。でもなんだが余計なつっかかりができてしまった。ため息をして、気合引き締めるようにアバ様のところへさっさと行こうと思ったのだった。
続く