夜中ふと目が覚め携帯を見ると3時過ぎだった。
ふすま1枚を隔てて隣が母の部屋なのだが、明かりが漏れている。
“眠れんちゃろうか?”
すると突然、母が割とデカ目の声で、
「はよ逃げんか、はよ逃げんか」
笑笑笑笑 “何から?” 笑笑
母はいつもイヤホンをつけてテレビを見ている為、何を見ているのかは分からないが、だいたい想像はつく。
しばしの静寂の後、今度は明らかに落胆したような、半ば呆れたような声で、
「あーあーどんくさい……」とバッサリ。笑
“逃げ切れなかったか…”笑
私なら絶対に逃げ切れたのに、とでも言いたそうだ。笑
以前母は、
「私が若い頃は足がものすごく早かったから、走るので誰かに負けた事は一度もない、男の人にも負けた事はない。犬よりも早かった」
と、話していたのを思い出す。
“犬より?……今ならオリンピックで金メダル取り放題やな”笑笑
明かりが消えたので、耳を澄ませ母の様子を伺っていると、スースーと小さな寝息が聞こえてきた。
“はやっ、寝たんかいっ!”
あなたのお陰で私はすっかり目が覚めてしまったと言うのに。笑
4月で85歳になる母だが、世界広しと言えど、深夜3時にNetflixでホラー映画を見て興奮している85歳もそんなに居ないだろう。笑笑
明日も母が健やかでありますように…
こんなささやかな幸せがみんなにありますように…
世界が1日も早く平和になりますように………