開始から3時間が経過した。
私達は途中で一人が操作不能に陥り迷宮から追い出されるトラブルにあいながらも、
どうにか迷宮を進んでいっていた。
パーティはパ魔僧僧/戦魔僧僧という構成。
私は妙なテンション半分頭がブッ飛んでおり、いつも以上に口からデマカセを発していた。
『…あれだ。』
「はあ」
『見逃すするとさ、まんぞくそうに帰っていった、って出るじゃないか。
あれ、実は満足荘ってとこに帰ってってるだけで、実は全く満足なんてしないんだぜ。
帰らない奴は全員ホームレスな。可哀想だがあれは我々に撲殺される運命なんだよ。
亡霊系とか家無いだろ?だから大体帰らん。』
「じゃあ今頃満足荘ぎゅうぎゅうなんじゃないですか?」
『かなりデカイんだよ。まだまだ余裕あるぞ。』
「そんな場所が…」
『だからキラートーチとか帰ると燃やされるからいつも祭りになるんだよ。
たぶん嫌われてるな、連中。
ヒートギズモも同じ理由だが連中は換気扇つけると大人しく出て行くしまだマシだ。』
「www」
なんかやたらあいぴさんがウケていた。
よくわからんテンションだったからなのか。
まあ、この状況じゃ無理もないか。
あー…やっぱエスターク直前からからやんないとテンション維持きっついなー。
それでもなんとかテンションを維持しつつ進んでいく。
偽災厄も撃破には成功したが時間は…19分。
正直言うとかなり厳しいタイムだ。
というのも、真災厄は+10分は見ておいた方が良いという予測をしていたからだ。
やってみるまでわからないか…。
そう思いつつ真災厄直前まで歩を進めた。
途中のモンスターは数もそう多くはなく、災厄を倒せるレベルなら全く問題ない敵だった。
それに災厄手前には泉があり、触れると完全回復が出来たため、特に回復の心配は不要だった。
小瓶を最初に使ってしまうとちょっと損した気分になる。
ボスルームに入ると、前座のおにこんぼうが現れた。
連戦であることは前情報でつかんでいたため、
表示が赤くなった瞬間からMP回復をして全快の状態で挑む。
真っつったって、基本は災厄と同じだろ?
やれるさ…
と思っていた私は認識が甘かったと言わざるを得なかった。
戦闘開始直後、いきなり無茶苦茶なスピードで突っ込んでくる災厄。
予想は出来ていたが、この時点で一人が死亡。
天使終了直後からザオラルを発動。
ま、この辺はいつもの…
『いつもの、HPが半分になった後の、災厄の動きをしてきた。』
スピードが向上した状態で魔触をぶっ放してくる災厄が如何に凶悪なものか、我々は知らなかった。
狭いフィールドで放たれるインドラの矢がいかに回りを巻き込むか、我々は知らなかった。
怒りでターゲットを定め、縦横無尽に駆け回る災厄を抑えられないことが、どれだけの脅威か我々は知らなかった。
新たに加わった連撃を防ぐ手立てが殆どないと、我々は知らなかった。
災厄からは逃げられないことを、我々は知らなかった。
気力が尽きそうな状態で挑むような相手ではなかったのだ。
そうして私は一回心を折られた。
続く。