何処かの冒険者の視点より。
『戦士もだいぶ上がってきたし、次は僧侶でもやるか。すみませーん。』
「僧侶に転職ですか?着替えないですよね?ではパンツ一枚になってください」
『ちょっとこんなトコで脱げって言うんですか』
「僧侶はじめてですよね?じゃあそれ装備できないんで」
『いや転職したって体格変わる訳じゃないでしょう。
僧侶らしい格好しろって言うならしますから、後にしてくれませんか?』
「レベル1ですよ。なにいってんですか。
あなたレベル1なら力もおもさも激減するんですよ?
そんな状態でそんなもん着けてたら転職したとたん死にますよ?
ご自分の体重の何倍もの重さの鎧ですよ?
貴方の脳にはおもさがないんですか?」
『何言ってるかわかりませんね』
「とりあえず脱いでください」
『はあ…じゃあ着替え持ってくるんで』
「あ、着替え持ってきてもまずパンツ一枚にはなってください」
『ハァ?訳わかんないですよ?』
「規則なんで」
『変態ですか』
「システムなんで」
『(まるで意味がわからんぞ…)』
『なんだったんだあいつは…まあいいや、とりあえず片手剣で雑魚蹴散らすか』
「お待ちください」
『またあんたか…なんですか?』
「片手剣は装備出来ません」
『いや、装備してますよ』
「僧侶はそんなもの使えません」
『いや、さっきまで使ってたんだし使えるでしょう』
「確かに他の職業で経験した武器は使えますが、それは無理です。」
『別に剣もった僧侶がいてもいいだろう』
「いないのです」
『今いるじゃん』
「駄目です。それでは僧侶のイメージが損なわれます。」
『はいはいわかりました、じゃあ槍ならいいんだな?』
「それはいいでしょう。で、この狩場適正レベル30ですよね。」
『そうだが?』
「しかもソロですよね?死にますよ?」
『元々レベル60だぞ?こんな連中雑魚だろ?』
「よしんば貴方が戦士のパッシブ全部とってても勝てません」
『パッシブだかなんだか知らんが
肩書きが変わったぐらいで遅れを取るはずがないだろう』
「これだから素人は…」
『仮にもレベル60に向かって言う台詞ではないな』
「じゃあやってみてくださいよ」
『おう』
ジゴスパーク!!!
『勝ったぞ』
「その技は敵専用ですが」
『前の世界にはあったぞ』
「ありません」
『実際使った訳だが』
「未実装です」
『うるさいな、槍使って勝っただろ?』
「違法改造ですね」
『いや、これはただの鉄の槍だが…』
「あなたのレベルでは装備できません」
『だから装備してる』
「ですから違法改造だと」
『現実を見ろよ』
「仕様を見てください。ここにレベル14じゃないと
装備できないよーんと書いてあります。」
『知らんがな』
「通報しますね」
その後、アストルティアで彼の姿を見たものは居なかった。
一説にはGMワールドという世界に転移したとの噂もあるが、
実際にどうなったのかは神にしかわからない…。