【詩】
大火力戦だった。
Bランク上位以降はバト戦メインのスタイルが多い。
勿論中には盗賊やスパスタ等搦め手を売りにしているパーティもあり、
彼らも無茶苦茶強かったのではある、が。
しかし、人気度というか当たりやすさではバト戦スタイルが多く、
バト2戦2など極端な破壊力を持ったパーティと対峙し
命の一片残る残らないを競った潰し合いになるケースが多かった。
こちらのパーティはバト・魔戦・魔法・僧侶の組み合わせで、
物理・魔法・遠距離・回復バランス良く持ち合わせた構成となっている。
このパーティの場合、
大火力接近戦において如何に命を維持していくかが鍵となる。
割と私の役割、重要だったりなんかした。
こちらより火力の高いパーティに一度押し負ければ、
単純な引き算で終了してしまうが、
相手が仕留め切れなければ一気にこちらが有利になる。
そんな足し引き算を繰り返し、残り30秒になった。
得点はこちらが優勢。中心部での最終決戦となった。
大火力パーティには最後の大逆転の手がある。
火力ごり押し…という分かりやすい手だが、劣勢なら仕掛ける価値はある。
恐らく相手は一斉攻撃をしかけてくるだろう。
この固まった状態だ、どう転ぶか分からない。
こちらの仕掛けが先に通れば…勝てる、はず。
だが…どうなるかはわからない。
最後の一手を決めるとすれば
1.対象一人に絞ってベホイム
2.中心に居座ってベホマラー
3.陣外に退避してザオラル
になるのだが、どれも心もとない。
犠牲者は出るのは間違いない。ザオラルが最善なのだが、
得点が分散してしまっている。
恐らく二人死ねば終わり。
と言うわけで、コロシアムでは使われにくいスキルを使った。
聖者の詩だ。
こんな発動バレバレ、クソ長い、潰されて当然の手など
本来使うべきではないのだが…
まともな考えではこの火力をやりすごせないと思った。
全員が範囲内でぶつかり合い、ターゲッティングすらままならないなら、
バレバレの手であろうが勝負をかけるしかない、と。
したがって、連中がぶつかり合う瞬間、中心部で発動をしかけた。
ちょうど必殺も黄色文字、消えそうなタイミングだった。
相手の手は多重範囲攻撃。
連続でビッグバン等の範囲攻撃をぶちかまされこちらは全滅のはずだった。
が…
一人だけ、HPが1の状態で。
隙丸出しの馬鹿が歌っていた。
全員を立ちあがらせた後、私は脱兎のごとく逃げ出した。
そのままタイムアップまで逃亡が成功。勝利となった。
まさか、って奴だったが…
道楽で作っていた銀ロザ致死20%がここにきて役に立ったらしい。
分の悪い賭けだった。
無双を叩き込まれていたら間違いなく死んでいただろう。
勝負は最後までわからないものだ。
僧侶をしていて一杯食わせることって、あるんだな…。
【ボクシングじゃないがラッキーパンチはない】
勝利の余韻を残したまま連戦。
またしても同じような大火力パーティ。
今度は状況が逆。向こうが優勢。
残り30秒をきっていた。
こちらは魔戦が突撃、それに追随して私。
別方面からバトと魔が攻め込んでいた。
それぞれ2:2の戦いに持ち込むが、
ポイントを持っているのはこちらパーティの方。
そしてこちらは火力がない。
二人がかりで魔戦が倒される。
こちらにはもはや火力役はない。
向こうも状況は芳しくない。
これは終わったか…。
と、思いながら最後っ屁をぶちかました。
ホーリーライトだ。
相手はまだ体力青字。死ぬわけが無い。
が、使った。最後の悪あがきだ。
せめて会心でも当たれば…!
相手が倒れた。
えっ
ちょ、どういうこと?
会心当たった覚えが…。
そのまま勝利してしまった。
ポイントが…300ポイント?
最多取得者倒しちゃってる?
ま…マジかよ…。
魔戦が倒されるその直前。
フォースブレイクが直撃していた。
回復魔力重視装備の私のホーリーライトの直撃は、なんと470。
倒しきってしまった。
まさか、私が使うなんて予測してたっていう…?
そんな事の為に一手使ったって?
ありえない。そんなので勝つなんて…。
本当にコロシアムは、わからないことだらけだ…。
だから、止められないのかもしれない。
チケット取ったのになぁ…。