※この物語はたぶんフィクションです。
『おう、辞めずに来たな新人!なかなか見所があるぞお前!』
「なんだかんだで日当が良かったですからね…文句なんか言ってられませんよ」
『言うねえ、それが続けば良いがな』
『じゃあ始めるぞ、まず荷台を見せろ』
「あ、はい」
『なんだお前…全然たりねーぞ。とりあえずなんでも良いから荷台埋めろや。』
「えっ!?鉱石と枝は何処に!?」
『そいつらが入るギリギリのスペースだけ空けろ!』
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!そんなことしたら過積載になるじゃないですか!」
『あのな…ウチのポンコツバイクは空きがあったらなんでも吸い込んじまうんだよ。だから最初っからその分しか空けねーの。吸い込み過ぎると自動メンテナンスが走って使えなくなるからな、稼ぎが減るだろ。大丈夫だ、過積載にはならん。何故かは知らんがな!』
「な、なるほ、ど…?」
『前働いてたとこではそんなことなかったのか』
「品質管理を徹底していましたからね。ゴミなんて吸い込まなかったですよ。」
『品質管理だぁ?どーせ「綿花確定枠」狙ってただけだろ?』
「マデュライトとプラチナもですね」
『マデュライト?じゃあ化石も拾うんじゃねーのか?』
「一応安くても売れるんで…」
『おーやだやだ、ケチくさい』
「ついでだから良いじゃないですか」
『ちょっと前におまえんとこの会社の奴が「化石5連続で出やがった。あれが出るとイライラしてピザ食いたくなる。」とか言ってたぞ。逆効果じゃーねーのか。』
「知りませんよ」
『じゃあ綿花下落するとイライラするほうか』
「ノーコメントです」
『お前がリストラされた理由がわかった気がするよ…』
「暴落が原因ですから!違いますからね!」
『で、お前何観るんだ?』
「え?これから運転ですよね?」
『お前な…これ毎日やるんだぞ?やってらんねーぞ。備え付けのモニタとBlu-rayドライブからなんか観ながら運転しろ。で、何が良い?「コマンドー」か?「テルマエロマエ」か?「メタルマン」もオススメだがあれは手引きを見ないと』
「脇見運転じゃないですか!」
『脇どころかガン見運転だな』
「注視は道路交通法違反ですよ!」
『あー?道路?そんなもんどこにあんだ?道路どころか荒野だぞ。あとこれ車両じゃないんで。実体はタイヤないし。ドルボードなんで。』
「屁理屈ばっかり…」
『要は当たらなきゃー良いのよ。別に携帯で喋ってても良いがな』
「喋りません!」
『メタルスライム並みにかたいやつだな…まあ、いいだろう』
『で、これが要注意人物…いや、モンスターなんとかか?とにかくその一覧だ。こいつらには注意しろ』
「はあ…ちょっと読んでみます」
【マグマロン】
路駐常習犯。マグマによく車両を止めている。
たびたび接触事故を起こし問題となっているため、
作業員には地中ゴーグルの着用義務がある。
【クリムゾングレイブ】
制限速度を遥かに下回る速度で走行し、渋滞を起こす。
煽るとすぐにキレるため、車線が空いたら車間距離を充分に取って追い越すこと。
なお、捕まった場合会社としては責任を取れないため、
各自の判断でトラブルに対応すること。
【アークデーモン】
ベリアル組構成員。
煉獄の谷ルート終端付近で常にイオ系を最強にする会を開いている。
作業員を見つけると通行料を要求してくるため、各自の判断で対応すること。
【アッシュリザード】
烈火の渓谷全体に広がるチンピラ。
煽り耐性が全くなく、エンジン音を聞きつけただけで殴りかかってくる。
とにかくウザいがドルバイクで逃げられるだけまだマシ。
【リザードファッツ】
【おにこんぼう】
痛恨級大型二輪。道の真ん中で路駐している。
尻尾を踏みつけても気付かないので、後ろから逃げ去ること。
「…これってつまり」
『まあなんだ、捕まるなよ!』
「…はい」
こうして、今日も仕事が始まるのだった…。