「次のアクセサリ、前衛向きなんだってさ」
暗黒の魔人実装前日。
どこから情報を仕入れてきたのか、
フレのドワ子はそんなことを言ってきた。
『前衛向きねぇ…僧侶としては金ロザとか大竜玉で
お腹いっぱいだからいいんじゃないかな。』
興味がないアクセサリの方が物欲に縛られずに戦えるからな。
そういう相手が居たって良い。
「前衛向きっていってもいい加減ネタ切れなんじゃない?」
『そんなことはないだろ。
魔塔の装備効果とか見てるとまだまだ伸びしろはあると見た。
流石に全ダメージアップとかはないだろうけどな』
「例えば?」
『打たれ名人効果とかは?』
「それ後衛にもメリットあるよね」
『むう…被弾って意味では前衛メリットの方があると思うけど。
言われてみると流石に違うか。』
「で、問題は部位だけど…」
『首は渋滞、胸はピラミッド占有、
ベルトはデブになったと錯覚するぐらいキツキツ、
札は不思議カードがあるし、その他は大竜玉様で手一杯だ』
「指か…」
『指だろ…』
顔アクセは言うまでもない。
コインボス実装は、個人的には祭りのようなものだと思っている。
こういう話をして想像を巡らせる所から祭りは始まっている。
その日も同じくそんな話をしていた。
そして翌日。
コンシェルジュ前でログアウトした私は、速攻で福引を始める。
3等四諸侯か…とりあえずお前は売りだな。
「景気がいいね、ガンガン届いてる」
同じく福引をしているフレに話しかけられる。
『四諸侯ばかりだけどな』
「魔人一個だけど出たよ」
『やるね、こっちも出るといいんだが』
「今バザー40万ぐらいになってる」
思ったより安定した値段だな…。
50万ぐらいだと思っていたんだが。
「アクセの部位は証らしいよ」
『証…!?それは予想外だったな』
指じゃなかったのか。
しかもためる効果か。確かに前衛向きだ。
魔法使いにも効くのだろうか。
コンシェルジュ前の風物詩をしばし堪能した後、
魔人をどうにか2枚出せた私はそのまま落ちる事にする。
そりゃまあ、仕事に行かないといけないしな。これ早朝だし。
仕事休む豪の者もいるらしいが、凄い意気込みを感じる…。
というかなんで私早朝に福引するようになったんだっけ。
すぐに戦闘出来ないのに。
祭り参加したがりか。
とりあえずツール手紙で魔人奪取の旨と戦闘を今夜行う旨をフレに伝える。
メンツが決まっているのは私を入れて3人。
後の一人は現地調達になりそうだ。
先程も書いたがコインボス戦は祭りのようなものだ。
前夜祭と選手入場は終わったが、ここからが本番。
そして本番に関してはいくつかルールというものではないが、
拘りのようなものがある。
・予習はしない。完全初見戦闘。
・職業は自重しない。
・『上記を含め』他人に一切強要をしない。
簡単に言うとこれだけだ。
祭りでは戦いそのものを楽しまなければならぬ、
というまあ、そういう理由からくるものだ。
見る人がみればアホらしいようなルールだが、
ゲームをする上でのプレイスタイルというか…
そういうものは大事にすべきだと思う。
流石にこれにつきあわせるのは悪いから、
最初は偵察という名目で1枚目を私が出す。
1枚目は捨てだ。完全に楽しむ為の投資。
それで勝てればいいし、勝てなきゃあ皆で考える。
思いつかないなら情報仕入れて答え合わせもする。
そういう意味で、2枚持っていくのが私的にはベスト。
2戦目以降は情報開示OKってあたりが貧乏くさいっちゃそうだ。
流石に無情報で三悪魔連戦したときは泣きそうになったからな…。
そういう訳で22時。夜の決戦を迎えた。
誰を誘おうか迷ってた所に
戦闘民族のエル子が入ってきたので、誘うことにした。
なんか大奥がどうのブツブツ言っていたが気にしない。
このメンツで戦うの、かなり久しぶりなんじゃあないだろうか。
最近時間合わなかったからな。
しかしこれなら負ける気がしない。
パーティ構成はバト2魔僧
となりそうだった所を、
強引に私がバト2スパ僧にさせた。
魔の彼女は基本的にどの戦闘もスパスタで乗り切ってきた。
キラ―クリムゾンの時もスパで参加してたし。
拘りがあるところは拘る。
自重しないのが我々のルールである。
流石に強化されないって点を愚痴っていたが。
うむ…わからんでもない。その癖金はめちゃ使うしな。
タンスに本職装備しまいっぱなしだったって話を聞いて、
結構な同情的気分になってしまった。でも拘りは大切だ。
前置きが長いのはいつものことで、戦闘開始。
続く。