【ケース1:いま、赤が熱いと言われて…(ラギ雪原在住のKさん)】
私は雪原で狩猟などをして生計を立てています。
最近稼ぎが少なくなってきて不安がっていたところ、
あの有名なクリムゾン氏に声をかけられたのです。
聞けば、このゴールデンウィークにとても実入りのいい仕事があるとのこと。
体を赤く塗るだけでチューンアップまでしてくれるというのです。
私、某Gさんの赤いボディに憧れてもいましたので、
あれぐらい強くなれるんだー!
と思い込み、即座に契約を交わしてしまいました。
しかし実際現場に行ってみたら
実はクリムゾン氏は本人ではなくリバイバル量産品でした。
これには落胆せざるを得ませんでしたね。
勘違いした私も悪いのですが。
それでも多くの冒険者が訪れていたのは確かなので
何も言わず出番を待ち続けました。
レプリカ氏がピンチになって救難信号が出されます。
よしきた、と前に出てみると、何故か後ろから不気味な吸引音が…。
そうです。私は彼に吸収され、パーツの一部となってしまったのです。
このメールも実は彼の使っている無線LAN機能を間借りして出しています。
正直ネットの閲覧履歴も見られるので
奴の悪趣味をこのメールでぶちまけてやりたいのですが、
あまり時間もないのでここまでにしておきます。
このメールを見られた方、お手数ですがこいつを鉄クズに解体した後、
本体メモリのフォルダ
「/仕事/20160508/休暇届/old/厳秘/killer/838861/伐採ゴロー」
から記憶のサルベージと機体の復元をお願いします。
メモリ移植先の機体はタイプGでお願いします。
【ケース2:無限・無敵と言われて…(異世界からお越しのAさん)】
私、元々はとりたてて特徴のないボス業を営んでいた者です。
とは言え最近は副業で活躍しており、不自由のない暮らしをしていました。
そこに最近、魔法の迷宮勤務を紹介されたのです。
ただ、話を聞いてみると、
世の情勢から持ち味の守備力を生かした勤務ができないとのこと。
(なんで私紹介されたんだろう…)
なんで守備力上げちゃいけないんだ、と抗議はしましたが、
今時殴って倒せない敵は時代遅れとの一点張りでした。
(それでも比較的高い守備力だそうです…)
しかし、代わりに無限に再生する軍団と無敵の盾を与えられると言うのです。
これは魅力的な提案でした。
この能力でメインタイトルに乗り込み活躍してやる!
そう思った私は契約を交わしたのです。
しかし…
実際に行ってみたら無敵なのは欠けた左手だけ。
無限の軍団は動きもしません。
オマケに弱点の本体は、中央に剥き出しという欠陥構造を与えられました。
しかもオートロックオン機能に不具合があり、
一番近い相手を常時ロックオンするようになっています。
これでは火力を存分に振るうことができません。
オマケに当てがわれた報酬アクセサリも一部を除き微妙な反応…。
勲章ですよ?名誉なことなんですよ?
現代人は名より実に走りがちなのでしょうか。
まあ、こんな欠陥構造倒した勲章程度では、ということなのかもしれません。
なんでこんなことになってしまったのか…。
田舎の魔都に帰りたいです。