天魔強討伐初戦日誌(前)
「シーンさん、そういえば天魔は ま だ だったよね?」
『余計な事を…思い出させてくれたな』
オーレン戦直後、おもむろに天魔行きになるような台詞を言い出す先生。
コイツ…本当は言い出すタイミングを見計らってたんじゃないのか?
敢えて話題を逸らすように他の皆にたずねる。
『それもあるんだけど、み ん な は行きたい所他にある?』
「強天魔行ってみたいです!」
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
確定した。
空気読んでないの?逆に読んだの?
見えてるの?なんか発するオーラとか見えちゃってるの?
私のオーラの総量は先生よりすくないの?
圧力負けなの?
ヤバイものには負かれろなの?
疑問は尽きなかったが野望は尽きた。
どうしてこうなった。
パーティも依然として変わらず戦武魔戦僧。
ごりおしですか。そうですか。
スーパー僧侶過労?もうどうにれもなれ。
癒し系ですよ。癒し系。ほらほらホイミですよー。
だいたいなんだよこのコース。
攻撃力最強のプスにー。
新ボス最強のオーレンにー。
旧ボス最強の天魔か。
なに?新旧つよぼす最強決定戦か?
全部倒しておめでたいな世界は平和になりましたって?
私の心はずっと闘争状態ですよ!
はぁ。
とりあえず天魔ってーと。
ただでさえ強い天魔が強化されて、
それが2体ですか。ニバイニバーイ。
倍ぐらい強くなってると考えると、2×2で40万倍は強いってことか。
あ、恐怖心で掛け算間違った。
4倍ですか。40万に比べればたいしたこと無いな!
こちとら4人だし、前の2倍は強くなってるしな!
8倍だ!これは勝てる!
…
人数増えてないじゃんかよ。
2倍対4倍か。あ、だめだ。こりゃ負けた。
『天魔って、アレ、が2体なんでしょ?勝てるの?』
「オーレン倒せたんだし、大丈夫、なはず」
おい、いまコイツ「死ぬんじゃないの」とか言わなかったぞ。
どういうこった…。
なに、本当に勝てちゃうっての?
いやいやいや、待て。これは引っ掛けに違いない。
1ランク評価を下げよう。
「大丈夫なはず」→「大丈夫かもしれない」
加えて先ほどの私の冷静な戦力分析から見れば、
これはもう少し悲観的に見ていいはずだ。
1ランク評価を下げよう。
「大丈夫かもしれない」→「大丈夫じゃないと思う」
あと私も結構疲れているから本来の性能を発揮できない。
1ランク評価を下げよう。
「大丈夫じゃないと思う」→「死ぬかもしれない」
ついでになんか不安だし1ランク評価を下げとこう。
「死ぬかもしれない」→「死ぬ」
おや、勝てる気がしないんだが。
やっぱり嘘だったか。ちくしょうめ。
「今回はシーンさんこれまで以上にきついと思うよー」
『きついったって、オーレン以上にじゃないんでしょ?』
「いや、あれ以上に半端ないと思う」
『なんでそんな労働強いるんすか…』
「回復とかもそうなんだけど、マホトラがきつい」
マホトラ?マホトラってアレか?
『やだなー、私がそんなMP管理ミスるわけないじゃないですかー』
「…本当にキツイよ?」
『今のはフラグ立てただけですから』
マホトラなぁ…確かに通常天魔んときも使ってきてたような気はするが。
(ちなみに魔戦の先生は杖魔ではないのでパサーの余裕度は通常より低い。)
『問題ないでしょ。なんとかするから』
こう言い放った後私は続ける。
『あと貴様等にひとつだけ言っておく。
私のMPが100を切ったらそれはMP回復する余裕ないってことだ!
小瓶ぶつけろっていってるんだ!
わかったか貴様ら生意気言ってすみませんおねがいしますううう』
最後までもたなかった。ヘタレた。
しかも普通に了解された。
中途半端にネタをいれるからこうなる。
そのままボロヌス溶岩流に突入する我々であった…。
戦闘編に続く。