いつもイロハ水族館をご愛顧いただきありがとうございます。
先日お知らせしたとおり、世界の気候館に特設サウナを新設しました。
この度、海底火山と熱水噴出孔を再現することで、ウロコフネタマガイの展示を開始しましたので、その生態について紹介します。

【導入〜謎だらけの生物〜】
・ウロコフネタマガイは、2001年に発見されたばかりの生物で、研究が進められています。
・体が鉄(硫化鉄)のウロコでおおわれているのが特徴的で、別名「スケーリーフット(ウロコをもつ足)」とも呼ばれています。
・謎だらけの生物ですが、わかっている生態を紹介していきたいと思います。
【分類〜あの〇〇の仲間?!〜】
・軟体動物門 腹足綱 ネオンファルス目に分類される、4センチほどの小さな巻貝です。
・腹足綱には、サザエ、カタツムリなどがいるほか、進化の過程で貝殻を失ったナメクジ、ウミウシ、クリオネも腹足綱の仲間です。
【高熱?!有害?!過酷な生息地】
・インド洋の水深2,000メートル以上の海底にある熱水噴出孔付近に生息します。
・熱水噴出孔とは、火山活動によって熱せられた高温の水が噴き出す場所のことです。
・その熱水は400度を超え、重金属や硫化水素、メタンなどの有害成分を含むという大変過酷な環境です。
【食事をしない?!〜エネルギー源は?〜】
・ウロコフネタマガイは、食事をしません。ではどうやってエネルギーを得ているのか?
・実は、熱水噴出孔から噴き出す硫化水素などの有害物質を生きるエネルギーに変えています!!
・体内に細菌を住まわせており、その細菌に硫化水素などをエネルギー源に変えてもらうのです!
【硫化鉄のウロコの秘密】
・ウロコフネタマガイは、これまで発見された巻貝の中で”唯一”ウロコをもちます。
・そのウロコは硫化鉄でできており、硫化鉄を体の構成成分とする生物は、ウロコフネタマガイ以外発見されていません。
・では硫化鉄のウロコはどうやってつくられるのか?
・前述のとおり、ウロコフネタマガイは体内の共生細菌に硫化水素等をエネルギー源に変換してもらっています。
・このときに発生する有害な硫黄代謝物を体外に排出することで、海中の鉄イオンと化学反応を起こし、硫化鉄のウロコが出来上がります。
・硫化鉄のウロコは、わざわざ作ったものではなく、代謝の結果として形成されたものだったのですね!
・なお、鉄でできているので、磁石にくっつきます笑
【とんでもなく大きい心臓】
・とんでもなく大きい心臓を持ちます。
・身体に占める心臓の体積は4%です。人間が1.5%なので、いかに大きいかわかります。
・共生細菌を食道に住まわせているので、硫化水素と酸素を送り届けるためにパワフルな心臓が必要なのです。
【絶滅危惧種に指定】
・海底の資源開発に伴う環境影響の懸念により、2019年、国際自然保護連合(IUCN)レッドリストの絶滅危惧種に指定されました。
・熱水噴出孔でしか確認されていない深海生物として、初めての指定です。
・それもそのはず、ウロコフネタマガイが生息する熱水噴出孔は、数が少なく、また、ひとたびそこを離れてしまうと、冷たい暗黒の世界。小さなウロコフネタマガイは、自力で近くの熱水噴出孔まで移動することができないのです。
【おまけ〜全ての生命の共通祖先?!〜】
・現存する全ての生命の共通祖先であるLUCAは、ウロコフネタマガイのように海底の熱水噴出孔に生息したと言われています。
・ウロコフネタマガイのような生物の研究が進めば、我々生物誕生の謎が解き明かされるかもしれませんね。
いかがだったでしょうか?
現実ではその飼育は非常に難しく、また過酷な環境にのみ生息するウロコフネタマガイ。イロハ水族館では、生きたまま観察することができます。
サウナを楽しみながら、海底の不思議生物を観察してみるのも良いのではないでしょうか。
イロハ水族館では、今後も増改築、展示の入れ替え、生態解説日誌の投稿、各種企画などを行っていきます。変わらぬご愛顧をお願いいたします。
〜〜お魚好きの方、ぜひお越しください〜〜
イロハ水族館
本館 ジュレ13981うるわし3番地
和風館 同1番地
世界の気候館 同2番地
※ご連絡くださればお招きのつばさ差し上げます。
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