(以下バージョン7.6(後期)までのネタバレがあります。)
北欧神話についてもう少し書き加えておきたいことがあり少し書いてみます。
以前日誌(1)〜(4)で北欧神話について書いていましたが、
恐らく北欧神話を参照している『シグルド戦記』『人形たちのラグナロク』の話が進んでいないように思われ、
この後の話が描かれる可能性は残っていると思います。
天星郷の秘伝の間から行ける英雄神の間。
ここに置かれた、フォステイル神が持ってきた小さな像。
よく似た形のものが現実世界の北欧神話にあり、チェス・将棋にあたる北欧の「ネファタフル」という盤上遊戯の駒で似ているものがあります。
北欧神話をまとめた新潮社の『エッダ』の文中で何度か出てくる「将棋」はこのネファタフルのことですが、
もしネファタフルとして、英雄神の間にフォステイルがこの駒に似た像を置いた意図は何なのでしょうか。
北欧神話の舞台であるアイスランド。
北大西洋中央海嶺という地表の骨格の突端に乗っているため、ときとして火山の噴火が起こるそうです。
島の南部には「ラキ火山」という火山があり、アイスランドに壊滅的な被害を複数回もたらした噴火の記録があるそうです。
神獣ラキと似た名前ですが、帝国書院の『アイスランド地理小辞典』p.49によると、火山の「ラキ」は〝食べ物を反すうする〟という意味とあり、
一度胃に入れた食べ物を口にもどして、かんでまた胃に入れるという意味合いや、
これが火山の名前になっていることから噴火の激しさを表したり、
やや転じて、頭の中でよく考えるという意味もあるようです。
ただ、神獣ラキは胃の食べ物をもどしてかんで飲み直すより、ポルテのグルめぐりのアルバムにあるように、
キャベツを丸かじりしたりスイカを丸ごと飲んだりする食べ方を好むようです。
それに、ラキは雷系の特技を使いますが、火に関する特技や呪文は使いません。
なので神獣ラキは、ラキ火山が由来なのかはよくわからないです。
それで、2025年3月に書いた日誌には、別の語源(蒸留酒の「ラキ」(アラビア語の「アラック」の短縮形))を妄想気味に書いていました(日誌「女神ゼネシアの謎(13)」)。
バージョン5.0。ベルヴァイン湖のストーリーボス「湖の魔獣ボルゲルグ」。
『エッダ』には『古エッダ』と『新エッダ』があり、後者の「詩語法」でオーディンが自身を「ボルヴェルク」と名乗る場面があり、「ボルゲルグ」と音は結構似ていますが関連は不明です。
ここには有名なエピソードが描かれていて、新潮社の『完全版エッダ』「詩語法」のp.363-365によると、
オーディンはバウギという巨人の前で「ボルヴェルク」と名乗り、隠された蜜酒を、様々な苦労の末手に入れることに成功しますが、
クエスト031「冒険者の酒場へようこそ!」では、さえずりのみつをドリンクに加える酒場の女主人の話が描かれていました(日誌「北欧神話の謎(4)」)。
なお、同書p.382-386でトール神と巨人フルングニルが決闘した「グリョートトゥーナガルザル(グリョートゥーンガルズとも)」を短くし母音を変えると「クリュトゥス」になりますが、この語が参照されているかは不明です。
港町レンドア南には「詩人ナスガルド」という魔物がいて、確かに「アースガルド」という北欧神話の神の世界が「ナス」と掛詞的に入っている可能性もありそうですが、
「詩人(ナ)スガルド」のようにも見え、かつてアイスランドにいた「スカルド詩人」を表している可能性も残ると思います。
東海大学出版会の『スカルド詩人のサガ』p.167-175によると、題材・内容は「王や主君を讃える頌歌(しょうか)、従軍記・紀行記、敵対する人物に対する誹謗中傷、想いを寄せる女性に対する愛を詠う」ものになるそうです。
詩人が従軍する場合、詩を作る能力に加えて戦地へ赴くことからある程度の戦力も必要だったようで、フォステイルはスカルド詩人と似ているところはあると思います。
詩人ナスガルドは口調がフォステイルに似ていて弦楽器を持っていますが、パルカラス王国で王宮魔術師として仕官していた頃はその音色を王のために捧げたことはあるのでしょうか。
また、スカルド詩ではエッダやサガと同様に「ケニング」という比喩のような修辞法を用いるのですが、
同書p.173によると主要語1語に修飾要素が1語係り、全体としてひとつの概念を表すそうです。
例えば、修飾要素「傷の」と主要語「雨」が合わさり「傷の雨」でひとつの概念「血」を表すそうです。
もし「詩人ナスガルド」が一種のケニングとしたら、何かほかの人物などを表している可能性はあるのか、
なぜ天の使いがナスやキュウリなのか、天とは天星郷なのか他の場所なのか、現時点では不明のままです。
おわり