(以下バージョン8.1までのネタバレがあります。)
バルシューメの魔瘴研究所で、黄色い液体の入ったフラスコが小型の炉のようなものでグツグツする描写に既視感がありました。
その既視感について、順に考えてみたいと思います。
▲ ユシュカの城であるファラザード城です。
▲ バルシューメの魔瘴研究所の地下3階にあるフラスコです。
フラスコを下で支えているのが小さな炉に相当する装置のようで、手前にあるボタン操作で左右にある塔のような形の容器からもエネルギーをもらっているんでしょうか。
構造的にはファラザード城と似ているように見えました。
バージョン8.0ではヴォルザッド中央塔のシューイの目の前にある大きなフラスコのような器具がありました。
また、バージョン6.0では聖天舎中央塔で天使長ミトラーが取り出したフラスコを目撃していますが、ここでも塔とフラスコがセットでした。
錬金術では「塔」や「城」は、フラスコを加熱する「炉」を表すことがあり、塔とフラスコがセットで出てきたことから錬金術の疑いは残っていると思います。
アルファベータブックスの『錬金術のイメージ・シンボル事典』p.70に「小塔を持つ城は、容器が置かれる哲学者の炉」とあります。
魔瘴研究所の黄色い液体の入ったフラスコの下部をやや覆うように炉のような装置が置かれていますが、
この炉を塔と同義と考えると、8.0のヴォルザッド要塞で出てきたばかりのフラスコ+塔(炉)が、同じような物事が立て続けに観測され特別な意味が感じられることがある、共時性の連続性として解釈できるようにも思われます。
ちなみに現時点ではまだ憶測の域を出ないのですが、異界アスタルジアのユシュカの話によると、
大魔王ヴァルザードの時代(2500年前)に温泉を作る技術があったそうで、オアシスの水を魔法で沸かしていたというのです。
この「魔法」を錬金術の視点で見れば「蒸留」の可能性は一応あり、現代のファラザード城の外観につながる可能性もありそうですが、情報が足りないので現時点ではまだ何ともいいようがないです。
しかし、塔+フラスコのような表現が複数出てきていて、それを主人公が「意味のある偶然の一致(共時性)」的に観測し続けているのは何か意味はあるのでしょうか。
ところで、ユングの深層心理学の「元型」(人類に共通する心の型)の象徴として出てくる「塔」も、フラスコを加熱する炉を表すことがあり、
6.0でのラダ・ガートの魂が飛び散らないようにフラスコ内に保管する「密閉」や、8.0の要塞で大きなフラスコのような器具の前で「孤立」するシューイを塔は思い起こさせました。
「塔」の同意語には「地下(牢)」があり、8.1で地下にある魔瘴研究所にはフラスコと炉がセットで置かれていました。
コスモスライブラリーの『共時性の深層』によると、既視感を感じさせる意味のある偶然の一致(共時性)と元型は関連深いことがあり、これらは時間や空間の拘束を受けないそうです。
時間や空間の拘束、言い換えると「因果律」が影響しない共時性や元型。
1000年後の未来にあるアルウェーン中央塔もフラスコの形をしていましたし、主人公がたびたび観測してきたフラスコ+塔(炉)は因果律の範ちゅうからはみ出ています。
アストルティアとユーマグラムで主人公は立て続けに塔やフラスコを観測しました。
そこにただの偶然とは思えない何か特別な意味があるのではと感じる可能性もあるはずです。
バージョン8.1冒頭で、エテーネ村の兄弟姉妹の研究室に、摘みに行ったばかりのプレーア草が飾られて、
兄弟姉妹の父アーヴは魔除けの効果があると説明してくれました。
そのあとユーマグラムの枯れた大木の前で、ミカゼがジューダに手渡したのが、プレーア草の花びらの入ったお守りで、
「魔除けになることを 願って」とミカゼは言います。
兄弟姉妹と一緒にプレーア草を摘んできて程なくして、ミカゼがプレーア草の話をしますが、双方に因果関係はないはずで、
それでも因果ではない何か縁のようなものを感じる場合もあるかも知れません。
共時性を「縁起律」と表現する本もあり、「心」と「心」、「心」と「物」といった、「心」が関与する際に問題になってくるといいます(岩崎学術出版社『身体像とこころの癒し』p.284)。
ドラクエ10では「AゆえにB」といった因果律だけでは説明のつかない描写が無数に出てきていますが、
ストーリーの核心的なところに非因果がどこまで関わっているかは現時点ではわかりません。
バルシューメの謎(2)へ続きます。